ピオグリタゾンの副作用 について簡単にまとめる。「体重増加」と「浮腫」について触れる
ピオグリタゾン(アクトス®)の体重増加は「用量依存的」。
「脂肪増加」と「浮腫」のどちらかを判断する必要がある。
「体重増加」の有無を確認することでよりよい服薬指導につながると考える
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メトホルミンとピオグリタゾンの違い ・比較
①体重増加の機序
脂肪細胞への作用
ピオグリタゾン(アクトス®)が核内型受容体転写因子であるPPAR-γに結合する
※peroxisome proliferator-activated receptor- γ(PPAR-γ):
脂肪細胞分化のマスター転写因子
↓
脂肪細胞の分化を促進 肥大した脂肪細胞をアポトーシスへ誘導する
↓
肥大した脂肪細胞を小さくするといった脂肪細胞の質的変化をもたらす
↓
「内臓脂肪」の蓄積を改善する。
↓
アディポネクチンが増加することなどを介して糖代謝が改善すると考えられている 。
インスリン抵抗性の改善
※しかし、「皮下脂肪」の増加による経時的な「体重増加」が起こる。
※peroxisome proliferator-activated receptor- γ(PPAR-γ):
脂肪細胞分化のマスター転写因子
※ざっくりと言うと・・・
ピオグリタゾンは脂肪細胞を悪玉から善玉に変化させるのだが、
食事療法が上手くいかないと 善玉の脂肪細胞が大きくなる(悪玉とは別)
補足
スルホニル尿素剤(SU剤)と併用することで体重増加率が上がる
1つの原因として、併用することで空腹感が増して、食べる量が増えるため
浮腫について
ピオグリタゾンがPPAR-γを刺激
↓
腎尿細管でのナトリウム再吸収を促進する。
ナトリウムの貯留
↓
水分貯留・浮腫を引き起こす。
・上肢に生じることが多い(下肢がゼロではない)
・心不全である前駆症状の「息切れ」「動悸」に注意する
※補足
浮腫の発生率は全体の7.6%
最大用量の45mgを内服中だと13.3%である
②判断基準について
2つの体重増加の原因が存在して判断に困る。
何を基準にしたらよいのか考えてみる
まず・・・浮腫に注意する
急な体重増加に注意する・・・
それは分かった
・・・でも目安が分からない
皆さんどう患者さんに説明してるのだろう。
「体重増加に注意してください」という説明は、個人的に不親切だと思う。
慢性心不全治療ガイドラインの中にヒントがある
数日(3日~7日程度)で2kg以上の増加の場合、体液貯留を疑う必要がある。
・問い合わせに対するメーカー(武田薬品工業)からの返答
投与後6ヶ月で3kg、1年で5kgの増加の場合は「浮腫」ではなく、
生活習慣による「体重増加」を疑う。
個人的にはかなり重要だと思う。
つまり、数日間の急な「体重増加」か否かがポイントとなる。
③浮腫が起きやすい人
・女性
添付文書からの引用
「浮腫が比較的女性に多く報告されているので、女性に投与する場合は、浮腫の発現に留意し、 1日1回15mgから投与を開始することが望ましい」
・インスリン併用時
・ピオグリタゾンを1日1回30mgから45mgに増量した場合
※補足
循環血漿量の増加によると考えられる浮腫(8.2%、112/1,368例)
参考資料
日本臨床70巻(2012) p208-209
急性慢性心不全ガイドライン2017
アクトス®添付文書、インタビューフォーム
武田薬品工業への問い合わせ