最近、うちの薬局で高齢者のH2ブロッカーが、
ラフチジンへ変更となることがある。
そこで、ラフチジンの特徴についてまとめることにした。
他のH2ブロッカ-との違いをざっくりと触れる。
今回の記事において、他のH2ブロッカーとは、
ニザチジン(アシノン®)、ロキサチジン(アルタット®)、
ファモチジン(ガスター®)、ラニチジン(ザンタック®)、
シメチジン(タガメット®)を指す。
①最も違う部分は「代謝経路」
代謝経路
一番の違いは多くのH2ブロッカーが「腎代謝」であるのに対し、
ラフチジン(プロテカジン®)は「肝代謝」である。
↓
ラフチジンは、高齢者での腎機能正常者と腎機能低下者で
薬物動態のデータに差がない。
↓
腎機能低下者に対して「用量調節」が必要ない。
※ただし、透析時について添付文書に以下のように記載がある
「透析患者では非透析時の最高血中濃度が健康人の約2倍に上昇することが報告されているので、低用量から慎重に投与すること」
※ラフチジン以外のH2ブロッカーは、腎機能低下者に対して投与量に注意が必要
添付文書上で、ファモチジン、ラニチジン、シメチジンの3剤では、
腎機能後毎の用量の記載がある。
尿中排泄率
・ラフチジンの尿中排泄率は投与量の約20%(未変化体として10.9%)
他のH2ブロッカーの尿中排泄率は、約60~90%である。
・ラフチジン以外のH2ブロッカーは、
蛋白結合率が低く、未変化体尿中排泄絵率が高い
※ラフチジンは、ピリジン環を母核とした今までとは全く異なる化学構造を有する
②効果の違いについて
・pH3以上のホールディングタイムが他のH2ブロッカーより高い
・24 時間胃内pHモニタリングにおいて、
pH3以上のホールディングタ イムの割合は日中も60%以上であった。
※ホールディングタイムとは、その状態を保っている時間
↓
夜間だけでなく日中の酸分泌抑制作用もある。
【酸分泌抑制率の他剤との違い・比較】
他のH2ブロッカ-は、24時間の酸分泌抑制率より夜間の酸分泌抑制率の方が高い。ラフチジンの日中と夜間で効果にあまり差がないというのは特徴的である。
【どの製剤が一番酸分泌抑制率が高いのか?】
試験データが厳密に違うため比べれないが
「24時間」の酸分泌抑制率は「ラフチジン」が一番高い。
※添付文書での注意点
重症(ロサンゼルス分類Grade C又はD)の逆流性食道炎に対する 有効性及び安全性は確立していない。
③補足
・「夜間」の酸分泌抑制率はロキサチジンが最も高い。
・ロキサチジンのみが小児への適応がある 唯一の徐放性製剤
参考資料
各製剤の添付文書・インタビューフォーム