①アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)と薬物代謝酵素(CYP)について
最初にアンジオテンシンⅡ拮抗薬は、
「血中において蛋白結合率が高い」
「CYPへの親和性が高く影響がある」
というイメージをもつと良い
また、「妊婦」には全て禁忌である。
代謝経路など特徴を理解することで
腎機能が低下している患者には、
どの薬剤を選択するべきか?等理解するために整理する
CYPの代謝を受けないもの
オルメサルタン(オルメサルタン®)、テルミサルタン(ミカルディス®)
CYP2C9が関連するもの
イルベサルタン(アバプロ®)、カンデサルタン(ブロプレス®)、
バルサルタン(ディオバン®)、アジルサルタン(アジルバ®)
CYP2C9とCYP3A4が関連
ロサルタン(ニューロタン®)
※個人的にはCYP代謝を受けないものを覚えている
②主なARBの特徴について
イルベサルタン(アバプロ®)
健常な人と肝硬変患者および軽度から高度腎機能障害患者でAUCに差がない
→効果が変わらない。
また、透析で除去されない。
テルミサルタン(ミカルディス®)
グルクロン酸抱合によって代謝を受けて胆汁排泄である
※胆汁からほぼ100%排泄される(糞中排泄型)
→未変化体として尿中にほとんど排泄されない
→「腎障害患者」に使いやすい
→「胆汁分泌が極めて悪い患者」や「重篤な肝障害の患者」には禁忌である
ロサルタン(ニューロタン®)
「重篤な肝障害の患者」には禁忌 である。
オルメサルタン(オルメテック®)
・最も脂溶性低い
→プロドラッグであり、CYPやグルクロン酸抱合を受けず
「オルメサルタン」としてそのまま排泄される
ARBの中でオルメサルタンだけ食事とCYPの影響を受けない
補足
※ARBと食事の影響について
オルメサルタンとカンデサルタンは食事の影響を受けない
バルサルタンとテルミサルタンは食事の影響を受ける
※ARBの豆知識 (副作用)
投与量を上げても副作用は増加しない
※テルミサルタンの禁忌についてはこちらを参照
③「適応症」の違いについて
すべてに「高血圧症」の適応はある。
+αとして「適応症」があるものは、
・ロサルタン
「高血圧及び蛋白尿を伴う2 型糖尿病における糖尿病性腎症」
・カンデサルタン
「腎実質性高血圧症」
「アン ジオテンシン変換酵素阻害剤の投与 が適切でない場合
慢性心不全(軽症 ~中等症)」
補足(適応症ではないが・・・)
血清尿酸値低下作用が示されているもの
(URAT1阻害作用)
・ロサルタン
・イルベサルタン
参考資料
各薬剤の添付文書およびインタビューフォーム