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アセタゾラミド(ダイアモックス®)と副作用(味覚異常)について~適応外使用(高山病)も~

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~炭酸飲料の味が変わる理由について~
ビールやコーラがまずくなる!?

ポイント

「味覚」に関わる神経への刺激が変化してしまうから

おまけ:適応外使用

「高山病」に対して用いる

①ダイアモックス®の適応症(効能・効果)

添付文書の記載は下記のとおり

「緑内障、てんかん(他の抗てんかん薬で効果不 十分な場合に付加)、肺気腫における呼吸性ア シドーシスの改善、心性浮腫、肝性浮腫、月 経前緊張症、メニエル病及びメニエル症候群、 睡眠時無呼吸症候群 」

個人的には、「緑内障」の方に服薬指導することが多い

②「味覚」が変わるメカニズムについて(詳細)

舌の上皮細胞において、炭酸脱水素酵素が活性化することで
二酸化炭素が水素イオン+重炭酸となる。
(CO2+H2O→H2CO3)



H2CO3から解離(H2CO3→ H+ + HCO3-)によって水素イオンが生じる。



水素イオンが味覚神経を刺激。三叉神経が刺激される 。



これが「味覚」の「刺激感」につながっている。



アセタゾラミド(ダイアモックス®)により、
炭酸脱水素酵素が阻害されることで、
H2CO3の生成が阻害される。



水素イオンの発生が抑制され味が変わってしまう。

※口の中に炭酸飲料を入れてガスが抜けるのは炭酸脱水素酵素のおかげ

※炭酸脱水素酵素:唾液腺あるいは唾液中に含まれる諸酵素の1つ

補足 酸味は水素イオンが味受容膜に結合することにより引き起こされる

②薬剤師業務において

炭酸飲料の味が変わる可能性があることは伝えた方がよい。
完全に個人的な印象であるが、高確率で味が変わったと訴えてくるし、
成人であれば「ビールが上手くない」と訴える方もいる。

コンプライアンスに大きく関わるので注意が必要である。
また、こういった内容を通じて薬剤師からの問診の必要性を
もっと知ってもらいたい。
「飲酒の有無」はこんな時にも重要な情報になるのだ。

③おまけ:適応外使用→高山病に対して

服用例として
「高地に到着する前日から、到着後 3 日後までの 4 日間内服」する
1日1回か2回、1回125mg (予防の場合)
1日2回、1回250mg(高山病を発症した場合)

ただし、決まった用法はなく処方医の指示に従うこと
特に予防法に関しては1回だったり2回だったり・・ややこしい

なぜ効果があるの?

・呼吸中枢を刺激し、呼吸回数を増やすことで血液の中の酸素量を増加する
・脳の血流を増やすことで、高地で生じる脳の低酸素状態を改善する

上記の作用が関係していると言われている

参考文献・資料
歯基礎誌11巻2号1969 p27-p43
高分子45巻6月号1996 p380-p384
ダイアモックス® 添付文書