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精神科

ミルナシプラン(トレドミン®)の特徴と適応外使用について~SSRIとSNRIの使い分けも~

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添付文書上の効能・効果は「うつ病・うつ状態」だけだが、
適応外使用もあって面白い薬剤である。

おまけ:SSRIとSNRIの使い分け?

①作用機序について

第4世代の抗うつ薬に分類されている。
 日本で最初のSNRI(Serotonin Noradrenalin Reuptake Inhibitor)
セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤である
セロトニンとノルアドレナリンの両方の再取り込みを阻害し、
神経間における両成分の濃度を高める。
 
効果発現は早い方ではある。 1週間ほどで効果を実感する人もいる

②副作用について

以前の三環形抗うつ薬では「口渇」「便秘」「眠気」などの 副作用が多かったが、
少なくなっている。
よくある副作用?時々耳にするのは・・・



「胃痛」と「吐き気」

「吐き気」のような胃腸障害は、服用初期に強く、
だんだん軽くなってくるが症状がひどい方は止める必要もある。

ファモチジン(ガスター®)やスルピリド(ドグマチール®)で抑えられる人もいる。

※消化器症状は10日から2週間程度で治まることが多い。
※空腹での服用も避けること

その他、ノルアドレナリンの作用である「頻脈」「振戦」や
「排尿障害」「尿閉」なども注意が必要



高齢者など注意

※ちなみに「尿閉」のある方は禁忌となっている。下記は添付文書の記載

「尿閉(前立腺疾患等)のある患者[本剤はノルアドレナ リン再取り込み阻害作用を有するため、症状を悪化さ せるおそれがある。]」

③適応外使用について

AD/HDに効く抗うつ薬として論文が出ている 。
ストラテラ®と同じような作用があり、
脳内のノルアドレナリンの作用を高めるため
医師によっては、AD/HDに疑いがある人に処方する。

うつ病に対しての効果は低いと指摘している先生もいて
なかなか理解が難しい薬剤である。

おまけ:SSRIとSNRIの使い分け?

厚生労働省「感情障害の薬物治療ガイドライン作成とその実証的研究」班編
の気分障害の治療とアルゴリズムを見ると

軽症・中等度のうつ病に対しての第一選択薬は「SSRI/SNRI」という表記で
同等の扱いになっている。

詳しい使い分け?は別の機会にまとめようと思うが
SNRIということは、「ノルアドレナリン」という部分に大きな違いがある

「ノルアドレナリン」は、生理的な機能として
「意欲」「気力」などに関わっており

うつ病の特徴的な症状の一部である「意欲・気力の減退」「やる気が起きない」が
強く出ている場合、処方されることが多いようだ。

参考資料
トレドミン®添付文書・インタビューフォーム
厚生労働省「感情障害の薬物治療ガイドライン作成とその実証的研究」班編
気分障害の治療とアルゴリズム