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精神科 高齢者

ベルソムラ (スボレキサント)について~ざっくりと特徴や年齢~

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ベルソムラ (スボレキサント)について簡単にまとめる。ざっくりと特徴や年齢について触れる。
依存性や筋弛緩作用がないため副作用が少ないのが特徴である。

おまけ:オレキシンについて

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①ベルソムラ の作用機序

スボレキサント(ベルソムラ®)は、オレキシンの受容体への結合を阻害する。
オレキシン1受容体(OX1R)とオレキシン2受容体(OX2R)両方に作用する
非選択性の薬剤である。

スボレキサントは覚醒中枢を特異的に抑制 する。



脳を「覚醒」状態から「睡眠」状態へ移行させる。
(鎮静作用とは関係ない機序)

※オレキシン受容体の違い

OX1R:食欲や依存行動
OX2R:睡眠
に関係している


※脳波的には自然な眠りに近い

※布団に入ると「オレキシン」の分泌が低下し、
そこからスポレキサントの効果が出てくる

※スボレキサントのオレキシン受容体占有率が66%を切ってきたら目が覚める

※γ-アミノ酪酸(GABA)、セロトニン、ドパミン、ノルアドレナリン、メラトニン、ヒスタミン、アセチルコリン及びオピオイド受容体に対して親和性を示さない。

②特徴について~さらっと~

「入眠困難」と「睡眠維持障害」どちらにも効果がある

 ※「記憶障害」「筋弛緩作用」「抗不安作用」
「認知機能障害」 「退薬症候」「反跳性不眠」がほとんどない。

※ここが従来の睡眠薬との違いだったりする

③注意点について

添付文書上の「高齢者」について

高齢者には15mg→臨床データ上「65歳以上」のこと

※65歳以上の20mgはNG。

意外と高齢者に20mgが処方されてきたりするので
疑義照会は必ず必要。

食事の影響について

「就寝直前」の服用を守ること。夕食後から2時間以上あけること

「食後」の服用だと、効果が1.5時間ほど発現が遅れる。

※気を付けないと「この薬全然効かない」という印象を与えかねない
服薬指導時に伝えておくことも大切

注意する併用禁忌の薬について

クラリス®、ラベキュア®、ランサップ®など

クラリス®は、抗生剤としてよく使われるし、
ラベキュア®、ランサップ®は、ピロリ菌の除菌に使われる。
意外と見落としてしまうので併用薬にベルソムラ®がないか
しっかり確認する必要がある。

併用薬による用量変更

特定の併用薬がある場合に10mgを使用することがある
それ以外の10mgの使用は疑義照会すべきだろう
添付文書の引用を下記に示す

「CYP3Aを阻害する薬剤(ジルチアゼム、ベラパミル、フ ルコナゾール等)との併用により、スボレキサントの血 漿中濃度が上昇し、傾眠、疲労、入眠時麻痺、睡眠時随 伴症、夢遊症等の副作用が増強されるおそれがあるため、 これらの薬剤を併用する場合は1 日1 回10mgへの減量を考慮するとともに、患者の状態を慎重に観察すること。」

私の勤める職場では、ジルチアゼム、ベラパミルなどが注意である。

④副作用について

主な副作用は、
「傾眠」「頭痛」「疲労」「悪夢」

服薬指導で対応していると、「夢をよくみる」とかいう話をよく聞く
悪夢だけでなく、夢の回数なんかの本人の印象も確認するといいかもしれない。

おまけ:オレキシンについて

視床下部で産生される。

覚醒状態の「維持」や「安定化作用」などに関与している
脳内のオレキシンは、「覚醒」時に高くなり、「睡眠」時に最も低くなる。

※存在している場所

・オレキシンは、「視床下部」に限局的に存在している
→10万ニューロン程度

・GABAは「脳内全体」に存在している
→100~200億ニューロン程度



GABAに関係する薬で 「傾眠」や「転倒」の副作用が多い理由の1つ

補足:オレキシンの欠損がナルコレプシーの病因となる

参考:メーカー推奨はないが簡易懸濁の様子は下記より

参考資料
ベルソムラ®添付文書・インタビューフォーム
メーカー問い合わせ