「胃腸障害の有無」「内蔵の衰えの有無」はどうか
など使い分けには色々ある。
ちょっと整理してみることにした。
①抑肝散について
構成生薬
釣藤鈎(チョウトウコウ)、当帰(トウキ)、川芎(センキュウ)、蒼朮(ソウジュツ)、 茯苓(ブクリョウ)、柴胡(サイコ)、甘草(カンゾウ)
添付文書上の効能・効果(ツムラ引用)
「虚弱な体質で神経がたかぶるものの
次の諸症: 神経症、不眠症、小児夜なき、小児府症 」
詳細
「釣藤鈎」と「柴胡」により鎮痙作用が増強されている
「茯苓」にも鎮痙作用が有り、「釣藤鈎」の鎮痙作用が増強されている。
肝の血流改善→「当帰」、「川芎」
水滞を治す→「蒼朮」、「茯苓」
昂ぶった肝の気を緩和する→「甘草」
上記のような作用が各生薬にはある。
適応・使い方
「認知症」の周辺症状に使われる。
「陽性症状」に用いる漢方薬である。
実証である「怒り」「暴言」「徘徊」などの症状に用いる。
※陰性症状(虚証)である「表情が少ない」「喜怒哀楽が少ない」などには使わない。
※「熱」がポイント
熱がこもってイライラしている。同時に水毒・於血・血虚があるもの
②抑肝散加陳皮半夏について
構成生薬
抑肝散+「陳皮(チンピ)」+「半夏(ハンゲ)」
※抑肝散の構成生薬
釣藤鈎(チョウトウコウ)、当帰(トウキ)、川芎(センキュウ)、蒼朮(ソウジュツ)、 茯苓(ブクリョウ)、柴胡(サイコ)、甘草(カンゾウ)
添付文書上の効能・効果(ツムラ引用)
「虚弱な体質で神経がたかぶるものの
次の諸症: 神経症、不眠症、小児夜なき、小児疳症 」
意外だが、抑肝散と表記は同じである。
ではどう使い分けるのかは下記の詳細を見て欲しい
詳細
「陳皮」→腸の蠕動運動を促進させる
理気作用があり、健胃作用・去痰作用がある。
気の滞りを改善する。
「半夏」→悪心・嘔吐を抑える。
健胃消化・鎮吐・鎮咳・去痰作用
「陳皮」と「半夏」を組み合わせることで、
胃部不快感や胃内停水による悪心・嘔吐を治す。
→胃部の痰を取り除く
→「抑肝散」より強いというわけではない!
→胃部不快感などの胃腸症状があるかどうかである。
腹部に気が滞っており、流れない状態による神経症状があり
嘔気・嘔吐があるものに用いる。
抑肝散が適応となり胃内停水による悪心・嘔吐のあるもの
補足:釣藤散にも「陳皮」と「半夏」が配合されている。
適応・使い方
抑肝散の症状に加えてストレスの蓄積で体力が減り冷えている人
も対象になったりする。
胃腸の不快感、嘔気、嘔吐を伴うなど
内蔵の衰えがあると考えられる場合はこちらがオススメ。
参考資料
ツムラ抑肝散、添付文書
ツムラ抑肝散加陳皮半夏、添付文書