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利尿薬 循環器

トルバプタン (サムスカ)の特徴について~単独投与可能な場合・不可能な場合を整理~

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トルバプタン(サムスカ) の基本的に導入は入院している間。
ただし、薬局に戻ってきた際に何に注意すればいいのか?

①トルバプタン (サムスカ®)の特徴

作用機序

腎臓の集合管に存在するバソプレシンV2受容体に対する拮抗作用により、
アクアポリン-2(水チャネル)の発現を抑制し 水の再吸収を抑制することで
利尿効果を示す。



つまり 体内の「水」、「水分」だけを排泄する利尿薬である。

注意点・副作用

「水」だけを排泄するため注意すべきことがある。

電解質上昇に注意する。
→血液が濃くなるイメージ

下記のような危険性がある。

・脱水→血栓症、血栓塞栓症
・高ナトリウム血症→意識障害
・高カリウム血症→心室細動、心室頻脈 ・肝機能障害

確認すべきこと

薬局でも確認し「薬歴」に記載すべきことは物凄く多い。
薬局でも可能なチェック項目

・体重

・口渇 →口渇を感じない人、飲水困難な患者へは禁忌

・血圧、脈拍数

・尿量(施設の方や家族などに確認。外来は厳しいかな?)
→水分のoutが1L/日を超えると注意

・トイレの回数→夜間頻尿を避けるため午前中服用推奨

・ナトリウム値、カリウム値

・AST・ALT
→吐き気、食欲不振、黄疸の有無

その他5%以上に「めまい」「頭痛」「口渇」「便秘」「尿酸上昇」など
→「検査値」や「自覚症状」等、「薬歴」に記載は必要だろう

※高ナトリウム血症が起きやすい人
高齢者・低体重者・女性・体液喪失時(発熱・・嘔吐・下痢) など

②トルバプタン の単独投与について

基本的には、他の利尿剤と使用するが、単独投与で使用するケースがある。
それについて簡単にまとめる。

他の利尿剤:ループ利尿薬、サイアザイド系利尿薬、抗アルドステロン薬等

単独投与可能

【肝硬変における体液貯留

病態の場合によって、低ナトリウム血症や低カリウム血症が考えられる。
ただし、他の利尿剤との併用が基本のため、
レセプトのコメントなどに「低ナトリウム血症のため」など入れると良いとのこと

【常染色体優性多発性のう胞腎

利尿効果を目的としていないため単剤投与
→1日60mgスタートであり、1日2回内服
→この疾患に処方を出す場合、医師はeラーニングを受けている必要がある。

サムスカ®を大量に使うことで、のう胞が腎臓に溜まるときの
水分吸収を抑える。のう胞の増量を抑える目的。

【SIADHにおける低ナトリウム血症】

この場合も利尿作用を目的としていないため単剤投与可能である
通常は、1日1回7.5mgであり、最高用量は1日60mg

単独投与不可能

【心不全における体液貯留

治験の段階で、ナトリウム利尿を起こす利尿薬との併用で試験をしている。
そのため保険的にも併用でないと通らない

疾患がわからない場合は、「疑義照会」が必要だろう。
15mgを超えたら「常染色体優性多発性のう胞腎」の可能性があるので
問い合わせをするようにしている。

トルバプタン の補足

・飲み始めて5日くらいでうっ血による呼吸困難の改善がみられる。
・開始・再開は入院中に、用量調節は医院やクリニックで可能
・一包化・粉砕可能

使用上の注意改訂2018.10

血清ナトリウム濃度が125mEq/L未満の患者、
急激な循環血漿量の減少が好ましくないと判断される患者、 高齢者、
血清ナトリウム濃度が正常域内で高値の患者に投与する場合は、
半量(7.5mg)から開始することが望ましい。

→ナトリウムが正常範囲内でも注意が必要

参考資料
サムスカ®添付文書・インタビューフォーム
メーカー勉強会資料