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脂質異常症・コレステロール 薬物動態・相互作用

ロスタバスタチン(クレストール®)について ~親水性だが肝臓に取り込まれやすい理由を含めて~

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①スタチン分類上の位置

ストロング?スタンダード?

スタチン系の薬剤には、その作用の強さにより
「スタンダードスタチン」と「ストロングスタチン」に分けられている。
(LDL低下作用は、スタンダードスタチンで15%程度、
ストロングスタチンは2倍で30%程度)

ロスバスタチンは、親水性唯一のストロングスタチンである。

最強のスタチンと言われている。(以前の最強はアトルバスタチン)
しかし、どれが一番強いかは非常に難しいところだと思う。

臨床試験の例

①ロスバスタスタチンは、アトルバスタチン、プラバスタチン、シンバスタチンよりLDLコレステロール低下作用が強いという報告がある。1)

② ピタバスタチン、ロスバスタチン、アトルバスタチンの3群間でLDLコレステロールの低下作用の非劣性が示された。16週間服用してどれも40%程度の低下率であり、3群間で差がなかったという報告がある(PTROL試験)。2)

補足

水溶性のスタチン系は、
「プラバスタチン(メバロチン®)」と「ロスバスタチン」である。
その他のスタチン系は、すべて脂溶性の薬剤。
「プラバスタチン」は、CYPの代謝をほとんど受けず、腎排泄の薬剤

②親水性なのに肝臓に取り込まれやすい理由

肝臓に取り込まれやすく、肝臓以外の組織には取り込まれにくい 



 肝臓にロスバスタチンを取り込むトランスポーターがあるから
(その他の組織にはない)

また、

肝臓に取り込まれるため、
肝機能に注意が必要である。 

肝臓における取り込みトランスポーターの例:

①有機アニオン輸送ポリペプチド(OATP2)→Na+非依存的

②NTCP(Na+ - taurocholate cotransporting polypeptide) は,
肝臓の血管側にのみ選択的に発現するトラ ンスポーター
→Na+依存的

添付文書上の記載(肝機能関連)

「投与開始又は増量後12週までの間は原則、月に1回、それ以降は定期的(半年に1回等)に肝機能検査を行うこと」



「検査値」「食欲」「黄疸」「だるさ」などは、薬局でも確認できる。

確認して薬歴に記載すると良い。

③相互作用について

主に胆汁排泄である。
わずかに、CYP2C9とCYP2C19で代謝される。
CYPを介した相互作用がほとんどないため、他の薬剤との相互が少ない。
しかし、個人的に気になるのは下記。

アルミニウム、マグネシウムとの服用に注意

アルミニウム、マグネシウムにより吸収を阻害される。
同時服用で吸収が50%程度低下する。

添付文書上の記載

「制酸剤を同時併用投与した場合、 ロスバスタチンのCmax及びAUC0-24hはそれぞれ50%及び46%まで低下したが、 ロスバスタチン投与後2時間に制酸剤を投与した場合には、 ロスバスタチンのCmax及びAUC0-24hはそれぞれ非併用時の84%及び78%であった」



酸化マグネシウムを服用している高齢者はたくさんいる。
この辺も頭の中に入れていると何かの役に立つのではないだろうか

参考資料・文献
クレストール®添付文書、インタビューフォーム
メバロチン®添付文書、インタビューフォーム
1)Blasetto JW,et al:Efficacy of rosuvastatin compared with other statins at selected starting doses in hypercholesterolemic patients and in special population groups.THE American journal of Cardioligy,
2003 Mar 6;91(5A):3C-10C; discussion 10C.

2)Saku K,et al:Randomized head-to-head comparison of pitavastatin, atorvastatin, and rosuvastatin for safety and efficacy (quantity and quality of LDL): the PATROL trial.
Circulation Journal,75:1493-1505,2011

胆汁排泄とトランスポーター 前田 和哉 
日薬理誌( Folia Pharmacol. Jpn. ) 135 ,76~79(2010)