タクロリムス軟膏 (プロトピック®)の特徴・副作用について触れる。ステロイドとの違いもざっくりとまとめる。
おまけ①:タクロリムス(軟膏)プロトピックが他の外用薬と 混合不適な理由
おまけ②:ステロイド外用薬との違い
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尋常性白斑と治療薬~ステロイド外用とタクロリムス軟膏(プロトピック®)~
①タクロリムス軟膏 の適応症
「アトピー性皮膚炎」
※適応外使用:尋常性白斑など
注意点
添付文書引用
「ステロイド外用剤等の既存療法では効果が不十分又は副作用によりこれらの投与ができないなど、本剤による治療がより適切と考えられる場合に使用する。」
と記載があるので注意すること
いきなりプロトピック®の使用は考えものである。
※ステロイド皮膚症(皮膚萎縮、毛細血管拡張等)のような
皮膚障害作用を引き起こさないことが期待できる。
②用法用量
「通常、成人には1日1~2回、適量を患部に塗布する。なお、1回あたりの塗布量は5gまでとする。」
→意外と使用量の制限がある。一回あたり1本(5g/本)まで
1日2回の場合は、2本まで。使いすぎ注意
③薬理作用
活性化したTリンパ球の機能を強力におさえることで、亢進した免疫作用を抑制する。
皮膚の免疫系の働きを低下させ、皮膚の炎症を改善する。
④副作用
よくあるのは皮膚の「刺激感」
最も発現率の高いものは塗布部位にみられる皮膚刺激感(熱感、ヒリヒリ感、そう痒感等)であり、
ステロイド外用剤に比し有意に高頻度で発現する。タクロリムスによる皮膚刺激感は、通常、「治療開始初期に塗布後一過性」に発現し、皮膚症状の改善に伴い発現しなくなる。
また、ほとんどが軽度~中等度の刺激感である。
その他(添付文書引用)
「重度の皮疹もしくは塗布面積が広範囲にわたる場合は、血中濃度が高くなる可能性があるので、本剤使用開始の2~4週間後に1回、その後は必要に応じて適宜腎機能検査を行い、異常が認められた場合には、直ちに使用を中止し、適切な処置を行うこと」
↓
薬局でも腎機能を確認する必要はあるだろう
⑤タクロリムス軟膏 のおまけ
タクロリムス(軟膏)プロトピックが他の外用薬と
混合不適な理由
「液滴分散型」の軟膏であるため不適である。
「液滴分散型」とは?
基剤に対する溶解性の悪い主薬の場合、プロピレングリコールなどに溶かした後、
基剤に均等に分散させた「液滴分散型軟膏」として調整している。
例:活性型ビタミンD3軟膏やタクロリムス軟膏、製品名だとアルメタ®、フルメタ®など
ステロイド外用薬との違い
一番のポイントは分子量が500を超えていること(分子量822)
分子量が500を超えていると健康な皮膚を透過しない!
一方で、炎症が起きている皮膚には吸収される。
そのため、「ほてり」や「痛み」を感じることがある。
例えば、ステロイド外用薬の分子量は500以下なので健康な皮膚にも作用する。
ただし、ステロイド外用薬で炎症を抑えたり、両者をうまく使うケースもある。
一番のポイントは分子量が500を超えていること(分子量822)
参考資料
2016年5月2日 放送 病薬アワー 大谷 道輝
プロトピック® 添付文書・インタビュフォーム