エロビキシバット (グーフィス®)の理解のために
いつ胆汁酸が分泌されるかを分かっておく必要がある
①胆汁酸について
胆汁酸は、脂肪吸収に必要な物質であり、肝臓でコレステロールから合成される。
↓
胆汁の主成分として胆嚢・胆管を経て十二指腸に分泌される。
↓
分泌された胆汁酸の約95%は小腸で再吸収され、
門脈を経由して肝臓に戻り再び胆汁中に分泌される。
(腸肝循環)
↓
再吸収されなかった胆汁酸は
大腸内において水分を分泌させ、消化管運動を促進させる。
※つまり、再吸収されなかった胆汁酸が排便に関与している
エロビキシバット(グーフィス®)は、
大腸に流入する胆汁酸による「水分分泌」と「大腸運動促進」の2つの作用に着目した薬である。
②エロビキシバット (グーフィス®)について
効能・効果
慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)
※薬剤性及び症候性の便秘に対する使用経験はない
用法・用量
通常、成人にはエロビキシバットとして10mgを1日1回食前に経口投与する。なお、症状により適宜増減するが、最高用量は1日15mgとする。
薬理作用・作用機序
胆汁酸の再吸収に関わるトランスポーターである
IBAT(ileal bile acid transporter)を阻害する作用を持つ低分子化合物である。
↓
回腸末端部においてIBATを阻害し、胆汁酸の再吸収を抑制する
↓
大腸内に流入する胆汁酸の量を増加させ、排便を促す
※血中に移行して効果を発現する薬剤ではない
「食前」服用の理由
朝、昼、夕食の刺激で胆汁酸が分泌されるため
効率のよい効果発現のために
胆汁酸が十二指腸に放出される「以前」に服用する必要がある。
そのため、「食前」服用となっている。
朝、昼、夕前投与で同等の効果があるため 「1日1回食前に経口投与」 となっている。
※どの食前に服用しても効果は変わらない
→「寝る前」投与は勧められない。
服薬後に食事がないため微妙。
「食間」も同様の理由で勧められない
補足:体内動態の話
「食事なし」の場合と「食前」の場合
→つまり、服用後「食事を摂るか摂らないか」
服用後食事をしなかった場合
CmaxとAUCが3~5倍になる。
→血中濃度が薬効に関係がないので体内に入らない方がいい
無駄な吸収はなるべく避けるべき
→服用したら食事をした方がいいだろう
副作用
主な副作用は腹痛(19.0%)、下痢(15.7%)
「国内で実施された臨床試験
(第Ⅰ相試験、第Ⅱ相試験、第Ⅲ相試験、長期投与試験)からのデータ」
発現時期投与1~28日目において高い
腹痛や下痢の発現時には「減量」すると85%以上で
継続だったとのこと(長期投与試験時のデータ)
添付文書での表現
「用法及び用量に関連する使用上の注意
本剤投与中は腹痛や下痢があらわれるおそれがあるので、症状に応じて減量、休薬又は中止を考慮し、本剤を漫然と継続投与しないよう、定期的に本剤の投与継続の必要性を検討すること。 」
※飲み始めは、やはり下痢、腹痛に注意すること
補足
効果発現(排便)までの時間は、中央値で5.2時間
また、24時間以内で排便がある人は約85%である。
※胆のうを除去した人も効果はある。
※粉砕可能
※簡易懸濁法可能 適1
添付文書
グーフィス®添付文書、インタビューフォーム
グーフィス®国内第三相試験
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