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泌尿器関連

前立腺肥大症とアルコールについて~食生活(食事・食べ物)もざっくりと~

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①アルコールの前立腺への影響

アルコールは前立腺をうっ血させて尿を出にくくさせる。
前立腺肥大症があると・・・
「全然でない」「苦しい急激な尿閉」が起こることがある。

アルコールは排尿筋収縮力を直接低下させる。

前立腺部尿道の弛緩不全をもたらす

尿閉が生じる

②ガイドライン上どうなっているのか?
前立腺肥大症診療ガイドライン

前立腺肥大症患者には,アルコール摂取の制限が推奨されるか ?
→推奨グレードB

※グレードB:行うよう勧められる

詳細

ガイドラインを引用すると

「RCTの設定が難しい点より根拠は不十分である。むしろ,アルコール摂取は病状と逆相関するとの報告もある。しかし,アルコール摂取によると推定される尿閉を経験することから,少なくとも過度の摂取の制限は推奨される。 」

基本的には、逆相関だが、尿閉を起こす症例があることから
飲み過ぎるな!ということらしい。

逆相関を示す報告例

「薬物治療に抵抗する最大尿流量が 15 mL/ 秒以下の患者1,369 例と
対照1,451 例の比較では,発症とアルコール摂取には逆相関を認めた。
その機序として,飲酒者のホルモン状態
(たとえば,アンドロゲンの低値)が関与する可能性がある」

※単純にアルコールの利尿作用とかではなく、ホルモンの話もあって興味深い・・・

おまけ:前立腺肥大症の人はどんな食生活が良いのか?

前立腺肥大症診療ガイドラインでは?

「根拠は十分ではないが,将来前立腺の手術を受けるリスクと
関連する食習慣(穀物・肉類は危険を高め,野菜類は下げる)が知られている。」
推奨度グレードC1

※推奨度グレードC1
行うよう勧めるだけの根拠が明確でないが行っても良い区分

詳細

・リスクを下げるもの

βカロテン、ルテイン、ビタミン C が豊富な果物
野菜、豆腐、玉ねぎ、にんにく

※野菜,穀物,大豆などに多く含まれる
イソフラボノイド(ゲニステイン,ダイゼイン)や
リグナン(エンテロラクトン,エンテロジオール)は、
前立腺肥大症の抑制効果が報告されている。

・リスクを高めるもの

でんぷん・穀類
肉類

※個人的意見
食生活に関しては良いエビデンスが色々あるのに推奨度C
アルコールはどちらとも言えない感じなのに推奨度B
なのが面白いと思った。
やはり「尿閉」という急性症状を避けることが大切ということだろうか

参考資料
Crispo A, Talamini R, Gallus S, Negri E, Gallo A, Bosetti C, La Vecchia C, Dal Maso L, Montella M. Alcohol and the risk of prostate cancer and benign prostatic hyperplasia. Urology 2004; 64: 717 – 722

前立腺肥大症診療ガイドライン 日本泌尿器科学会/編

Rohrmann S, Giovannucci E, Willett WC, Platz EA. Fruit and vegetable consumption, intake of micronutrients, and benign prostatic hyperplasia in US men. Am J Clin Nutr 2007; 85: 523 – 529

Galeone C, Pelucchi C, Talamini R, Negri E, Dal Maso L, Montella M, Ramazzotti V, Franceschi S, La Vecchia C. Onion and garlic intake and the odds of benign prostatic hyperplasia. Urology 2007; 70: 672 – 676

Bravi F, Bosetti C, Dal Maso L, Talamini R, Montella M, Negri E, Ramazzotti V, Franceschi S, La Vecchia C. Macronutrients, fatty acids, cholesterol, and risk of benign prostatic hyperplasia. Urology 2006; 67: 1205 – 1211

Ambrosini GL, de Klerk NH, Mackerras D, Leavy J, Fritschi L. Dietary patterns and surgically treated benign prostatic hyperplasia: a case control study in Western Australia. BJU Int 2008; 101: 853 – 860