おまけ:釣藤鈎(チョウトウコウ)について
①釣藤散とは?
構成生薬
釣藤鈎(チョウトウコウ)、陳皮(チンピ)、半夏(ハンゲ)、
麦門冬(バクモンドウ)、 茯苓(ブクリョウ)、人参(ニンジン)、
防風(ボウフウ)、菊花(キクカ)、甘草(カンゾウ)、
生姜(ショウキョウ)、石膏(セッコウ)
どういう人に用いる?
虚証の漢方・順気剤
気の動揺と気のうっ滞をかねるもので、気の上衝が強く
その気が肩および頭部に集まり、興奮または沈うつを呈するものである。
したがって、神経症状を呈し、頭痛、めまい、耳鳴り、項背 拘急(こうはいこうきゅう) などを目標とする。
→動脈硬化症、高血圧症、脳動脈硬化症その他の循環器系疾患 慢性腎炎、神経症、更年期障害、メニエール病などに用いられる
ツムラ釣藤散の添付文書記載(引用)
「慢性に続く頭痛で中年以降、または高血圧の傾向のあるもの」
不思議なことに頭痛と高血圧の文言しかない。
意外とメンタル的なもので使用するケースもあるので注意する
補足:項背拘急(こうはいこうきゅう) とは?
項背部(くび、背中). の筋肉が強く緊張すること
②釣藤散と認知症
・「脳血管性認知症」に有効という報告がある(1994年)
・認知症の患者には「抑肝散」が多く用いられるが
「頭痛」や「めまい」などの症状、朝から頭痛がある人など
「釣藤散」を使うとよいケースがあるようだ
「脳血管障害」や「動脈硬化」などを合併している場合に良い可能性がある
おまけ:釣藤鈎(チョウトウコウ)について
釣藤鈎を理解することで
認知症の周辺症状に使われる漢方薬を整理できるのでまとめる
・アカネ科カギカズラ
・神農本草経収載
釣藤鈎を含む漢方
「釣藤散」・「抑肝散」・「抑肝散加陳皮半夏」・「七物降下湯」
成分
「ヒルスチン」・「ヒルステイン」・「リンコフィリン」・「イソリンコフィリン」など
→インドールアルカロイドを含んでいる
薬理作用
抗てんかん作用
認知機能改善作用
抗不安作用
血圧降下作用など 多様
漢方的な考え
「肝」の熱を取ることで熱気が頭部へ逆上するのを防ぐ。
「頭痛」・「めまい」・「耳鳴り」などの症状に効果がある。
「鎮静作用」もある。
・中医学では「平肝止痙」 「鎮静」・「鎮痙」・「解熱」
※加熱により有効成分が失われることがあるので 煎じすぎは注意
参考資料
漢方薬の実践知識 村上光太郎
本事方
Shimada.Y et al 和漢医薬学雑誌1994;11:246-255
よくわかる漢方処方の服薬指導 p138
ツムラ釣藤散添付文書