①ビタメジン®(ビタミンB1)と心臓(心不全)
ビタメジン®が処方されていたら・・・
もしかしたら心不全かも・・・?
脚気からくる心不全の可能性がある
ビタミンB1が不足することで、 以下のようなことが起こる。
①心筋のエネルギー代謝不足
②末梢神経障害に伴う抹消の血管拡張
これが原因で「動悸」、「労作時の息切れ」が起こることがある。
利尿剤による喪失
循環器科では、「むくみ」などがあれば利尿剤が処方されることが多い。
ビタミンB1は水溶性ビタミンなので利尿剤によって
排泄が促進されると考えられる。
それにより心不全症状が起こることがあるため
ビタメジン®が処方されることがある。
なぜアリナミン®ではないのか?
他の水溶性ビタミンも不足してるかもしれないからである。
インタビューフォームの記載(ビタメジン®):
「ビタメジンは、神経機能の円滑化に必要な3 種のビタミン、すなわちB1、B6、B12 を配合した高単位ビタミ ン剤であり、これらビタミンの協力作用によって、各種神経疾患の治療、無力症状の回復などに優れた効果が期待できる」
→B1単剤(アリナミン®)より複合剤(ビタメジン®)の方が効果が高いという報告がある。
補足:添付文書上の注意
「効果がないのに月余にわたって漫然と使用すべきではない」
↓
薬歴には
「なぜビタメジン®必要か」、「効果があるのか」、
「疑義照会しているのか」など記載がいるだろう。
②ビタミンB1(ビタメジン®)と脳症(認知症)
分類
・急性期 → ウェルニッケ脳症
・慢性期 → コルサコフ症候群
※アルコール認知症とも言われている
どんな人に多い?
アルコール依存性や高齢者
いなかの薬局などでも
昼間からやることもなく飲酒がひどく、
低栄養の高齢者を見ることがある。
そういう方がいたら注意すること
症状
3つの特徴がある
・意識障害
・歩行障害(小脳失調歩行)
・眼症状(眼振)
その他の症状
・うわごとをしゃべる
・幻覚をみる
など
機序・理由
栄養状態の悪い人が飲酒により・・・
↓
・下痢を起こしビタミンB1の吸収不良となる。
・ビタミンB1活性化を抑制する。
・アルコール分解にビタミンB1が使われる。
↓
結果として ビタミンB1欠乏となる。
ビタミンB1の脳内での役割が関係している
脳内では、糖質のみがエネルギーに変換されるため、
ビタミンB1欠乏により脳内での糖-エネルギー代謝が減り、脳症を引き起こす。
治療
栄養状態が悪いので、アリナミン®の単剤よりビタメジン®の方がよい
他には生活スタイルの改善(飲酒を減らす)などが必要である。
参考資料
ビタメジン®添付文書、インタビューフォーム
アリナミン®添付文書