いなかの薬剤師

心不全とは何ですか?~患者からの質問~

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時々質問があるので急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)を元にざっくりと以下に示す。

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①心不全の定義

「なんらかの心臓機能障害,すなわち,心臓に器質的および/あるいは機能的異常が生じて心ポンプ機能の代償機転が破綻した結果,呼吸困難・倦怠感や浮腫が出現し,それに伴い運動耐容能が低下する臨床症候群」

一般人向けには以下のように説明されている。

「心不全とは,心臓が悪いために,息切れやむくみが起こり,だんだん悪くなり,生命を縮める病気」

ポイントは、「生命を縮める病気である」ということ!!

②『心不全の定義』についてのQ&Aより抜粋

“心臓が悪いため”とあるが、これはどういうことか?

長いが、原因なども具体的に書かれている。

「心臓は、いろいろな原因で正常な機能(血液を全身に送り出すポンプ機能)を発揮できなくなることがありますが、それらを総称して、“心臓が悪いため”に、と表現しています。
悪くなる原因としては、
① 血圧が高くなる病気(高血圧)
② 心臓の筋肉自体の病気 (心筋症)
③ 心臓を養っている血管の病気 (心筋梗塞)
(十分に心臓を養えていないために起こる)
④ 心臓の中には血液の流れを正常に保つ弁があるが、
その弁が狭くなったり、 きっちり閉まらなくなったりする病気(弁膜症)
⑤ 脈が乱れる病気 (不整脈)

これらの病気のために、心臓の血液を送り出す機能が悪くなっていることを意味します。また それぞれの病気には、それぞれ適した治療法があります。」



ざっくり言うと、何らかの病気で心臓のポンプとしての機能が
悪くなっていることを指している。

“生命を縮める病気”とは、具体的にどれくらい生命が縮まるのか?

たしかに気になる内容・・・回答は下記のように示されている

「どれくらい生命を縮めるかは、個人差があります。
1年以内に生命を落とす人から、何十年 と普通の生活を送る人まで様々です。
循環器の専門医なら経験上、大まかに予測することはできますが、
がんのように、「余命何年です」と説明しにくい状況にあります。
それは、がんのように、早期がん、末期がんといった ステージングが、
十分に定められていないからです。
学会では、現在、心不全のステージング を客観的に説明できるようなデータ解析を進めています。
現段階ではありますが、心不全で入院したことのある人は平均で 5 年間に約半数の方が亡くなっています。これは肺がんよりは良好ですが、大腸がんとほぼ同等、前立腺がんや乳がんよりは不良です。」



恐ろしい・・・大腸がんとほぼ同じだと・・・
何なら前立腺がんや乳がんより予後不良。
やはり、正しく病気を患者に理解してもらう必要がある。
慢性的な心不全の薬剤治療では、目に見えない、実感しにくい治療なため
コンプライアンス、アドヒアランスは不良になりがちである。

心不全は一旦発病すると、治ることはないのか?

つまり、心臓のポンプ機能は元にもどるのか?ということだが・・・
回答は?

心不全の原因となっている心臓の異常が、完全に治ることは少ないです
しかし、現在、心不全の治療法はずいぶん進歩しています。
心不全の薬は、症状を改善したり、入院の回数を減らしたり、
生命そのものを延伸することが明らかになっています。

従って、これらの薬をきちんと内服していただくことは重要です。
その他には、外科手術、ペースメーカー、心臓の収縮を整える機械の装着、
究極的には心臓移植が治療法となります。」



そのままでは完全に治ることは期待できない。
そのため、服薬管理がいかに大切かが示されている。
患者に対して、服薬により
「症状を楽にして、入院も減らすし、寿命も延ばす」ということを
理解してもらう必要がある。
薬局薬剤師もアドヒアランス向上のため努力すべきところではないだろうか

心不全は予防できるのか?

「予防することは可能です。
心不全の予防には、心臓が悪くならないようにする予防と、
一旦、 心不全を発症した人の再発予防の2 つがあります

心臓が悪くならないようにする予防には、心臓の働きを悪くさせる要因を除くことが必要です。 つまり、高血圧、糖尿病、脂質異常症(コレステロール等が高い病気)、肥満を未然に防ぐことです。そのためには、禁煙、減塩、節酒、適度な運動が重要です。
そして、心臓が悪くなり かけていることに早く気付き、医療機関を受診し、上記の生活習慣の改善に加えて、適切な薬物治療をすることにより心不全の発症や悪化を防ぐことができます。
心不全の再発予防としては、
上記の事項に加えて、過労、水分の過剰摂取を避けること、
また、冬には風邪を契機に心不全の悪化がよく見られますので、風邪予防も重要です。また、高齢者の心不全では、軽度の労作が大きな負担になって、再発することもよくありますので、患者さん自身のヘルスケア、ご家族、あるいは医療・介護関係者、地域でのケアが心不全の予防では特に重要です。」



・心臓を悪くしないようにする予防には生活習慣の改善が重要
・心不全を発症した人は、それに加えて、働きすぎ、水分過多、風邪を避けること

意外と具体的に書かれている。「過労」はダメ。
働きすぎている人が朝から亡くなってたという
ニュースが時々あるので本当に注意

※再入院の要因としては、
過労、塩分過多、精神的ストレスが多い

参考資料
心不全の定義』について 2017 年 10 月 31 日発表
一般社団法人 日本循環器学会/ 一般社団法人 日本心不全学会
急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)

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