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精神科

他剤からアセナピン(シクレスト®)舌下錠への変更~抗コリン作用の強いものに注意~

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おまけ:アセナピン舌下錠(シクレスト)が舌下できない場合は?(質問) 

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変更時の注意点

抗コリン作用が強い薬剤からの変更

オランザピン(ジプレキサ®)、クロザピン(クロザリル®)、
クエチアピン(セロクエル®)など
抗コリン作用のある薬剤を急に中止すると抑制されていた自律神経系のコリン作動性の活動が亢進してしまう。

「不眠」、「アカシジア」、「吐き気」などを引き起こす可能性がある
そのため 併用しながら 1~2ヶ月かけて減量していく必要がある。

抗コリン作用が弱い薬剤からの変更

アリピプラゾール(エビリファイ®)、リスペリドン(リスパダール®)、
ハロペドール(セレネース®)など

併用しながら3日~1週間かけて減量する

薬局業務において 処方箋上、上記の薬とアセナピン(シクレスト®)が
同時に処方されることはありえる。
ただ、減量の仕方や患者さんの副作用のチェックなど必要だろう。

おまけ:アセナピン舌下錠(シクレスト)が舌下できない場合は?(質問)

効能効果

統合失調症

用法用量

「通常、成人にはアセナピンとして1回5mgを1日2回舌下投与から投与を開始する。なお、維持用量は1回5mgを1日2回、最高用量は1回10mgを1日2回までとするが、年齢、症状に応じ適宜増減すること。」



1日二回の舌下錠であるが、本人が暴れたり、
吐き出してしまう可能性がある場合どうすればいいのだろうか。
統合失調症の方は、なかなか難しい・・・

製剤性

ザイディス錠と似ていて口の中で3秒ほどで溶ける。
舌下で吸収するため口に入れてすぐに飲水してしまうと
吸収にバラツキが出てしまう。
メーカーとしては 舌下後10分間は飲食・歯磨きはしないように指導を勧めている。
また、舌下以外からも吸収はされる。

添付文書上にも記載あり
「本剤の舌下投与後10分間は飲食を避けること
[バイオアベイラビリティが低下する可能性がある]。」

具体例

・頬と歯茎の間(通常バッカル錠を吸収させる部位)
→CmaxとAUCが20%上がる

・舌上
→CmaxとAUCが10%下がる。
※舌の上でも10%しか変わらないと言えば変わらない

つまり、3秒で溶けることを利用して暴れる人や吐き出す高齢者などには、
口の中に入れてしまえば吸収される。
100%ではないかもしれないが、効果は期待できる
舌下だから使いにくいではなく この性質を利用する手もあるかもしれない

参考資料
シクレスト®添付文書、インタビューフォーム、問い合わせ