ジギタリスの副作用であるジギタリス中毒、主に視覚障害をスポットを当ててみる。
血中濃度の測定などがリスクを避けるには大切だが、一般の外来では、そこまで出来ていないのが現状である。
①副作用について
添付文書
「本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない ため頻度は不明である。(再審査対象外)」
※意外にも副作用は様々知られているが頻度は不明・・・
ジギタリス中毒(副作用)
・心性
頻拍、高度の徐脈などの不整脈
・心外性
消化器症状(悪心・嘔吐・食欲不振・下痢、非閉塞性腸間膜虚血)
中枢神経系(視覚障害、頭痛、めまい、不安、うつ、せん妄、幻覚)
などが知られている
消化器症状は、心電図異常が出る前の常用量でも起こる。
ジギタリス中毒が起こりやすい場合
腎機能低下者
電解質異常時(低カリウム血症、高カルシウム血症、低マグネシウム血症)
薬物相互作用
※血中濃度が1.5ng/ml超えると心外性の副作用が増える
※血中濃度が2ng/ml超えると副作用の発現が多くなる
※低カリウム血症では、ジゴキシンの心筋への感受性が上がるという報告がある
②視覚障害
考えられている原因・機序
明確には分かっていないが、考えられていることをまとめる
高用量投与で「色覚異常」、「かすみ眼」,「 ちらつき」等が起こる。
杆体よりも錐体機能に強い影響を及ぼすと言われている。
この作 用にはジギタリスの持つNa/K-ATPase 阻害作用が
関連していると考えられている
自覚症状
黄視症(黄色に見える)、緑視症(緑に見える)などの色覚異常
かすみ眼
光がないのにチラチラ見える、複視
など
→眼科に行っていない人も多いので見え方のことなど異常を
感じたりないか服薬指導時に確認してはどうだろう
参考資料
Madreperla SA, et al. Arch Ophthalmol. 1994;112:807-812
循環器薬の薬物血中濃度モニタリングに関するガイドライン2015
Eggleston C: Digitalis dosage. Arch Intern Med 1915; 16: 1-32
Mahdyoon H, Battilana G, Rosman H, Goldstein S, Gheorghiade M: The evolving pattern of digoxin intoxication: observations at a large urban hospital from 1980 to 1988. Am Heart J 1990; 120: 1189-1194.
日本薬局方ジゴキシン錠、ハーフジゴキシン錠、添付文書、インタビューフォーム