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Collagenous colitisと原因薬剤について~PPIは要注意~

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①Collagenous colitisとは?

1976年にLindstrom によって提唱された。

慢性の水様性下痢を主徴としている(難治性)。 緩徐に発症する。 内視鏡的に粘膜はほとんど所見がなく生検にて膠原線維帯、コラーゲンバンドの肥厚が見られる。
原因はまだよくわかっていない。

定義

基本的な定義は、大腸内視鏡検査と生検により、大腸粘膜上皮直下に10μm以上のコラーゲン・バンドが認められるものとされている。また、リンパ球主体の炎症性細胞浸潤を特徴としている。

症状

長期にわたり繰り返す難治性の水様下痢であり、
基本的には血性の下痢を認めることはない。
腹痛を伴うこともある。

※中高年の女性に好発する
※男女比は1:7

②原因薬剤

・プロトンポンプ阻害薬PPI(特にランソプラゾール)
・H2ブロッカー、
・カルバマゼピン
・利尿剤
・NSAIDs
・アスピリン
・チクロピジン、
・選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)
・アカルボースなど

③対処法

原因薬剤の中止により、症状が速やかに軽快する場合が多い。
PPIの場合、H2ブロッカーへの変更で改善することもある。
再発することも多いため注意が必要である。

【食事】
下痢の改善のため脂肪食、カフェイン、アルコール、乳製品摂取を制限すると良い

【下痢への対処:内服】
ロペラミド(ロペミン®)など

【原因薬剤の中止で良くならない場合】
・アミノサリチル酸製剤(メサラジン、スルファサラゾピリン)
・経口ステロイド(プレドニゾロン)
・コレスチラミン
などが使われる。

補足

バイアスピリンとPPIを併用して長期に服用することはよくある。
そういった場合、服薬指導において「下痢」症状がないかなど定期的に確認するとよい

添付文書(PPI)

・タケプロン®

「その他の副作用(0.1~5%未満)
大腸炎(collagenous colitis 等注4)」

「注4)下痢が継続する場合、collagenous colitis等が発現している可能性があるため、速やかに本剤の投与 を中止すること。腸管粘膜に縦走潰瘍、びらん、易出血等の異常を認めることがあるので、下血、 血便が認められる場合には、適切な処置を行うこと。」

・ネキシウム®、パリエット®、オメプラール®
その他の副作用(頻度不明)
微鏡的大腸炎 (collagenouscolitis 、 lymphocyticcolitis)

※ボノプラザン(タケキャブ®)には、今のところ(2021年)添付文書に記載はないが、
報告はされており、潜在的なリスクは存在する

おまけ:関連動画(ランソプラゾール)

参考資料
民医連新聞 第1558号 2013年10月21日
タケプロン®、パリエット®、ネキシウム®、オメプラール®添付文書、インタビューフォーム
Collagenous colitisの診断と治療 梅野淳嗣ら
日本消化器内視鏡学会雑誌 Vol.52(4), Apr. 2010 p1233-1240

Lindstrom CG. ‘Collagenous colitis’with watery diarrhea ― a new entity Pathol Eur 1976;11:87 -9.

Pardi DS, Loftus EV, Jr., Smyrk TC et al. The epidemiology of microscopic colitis:a population based study in Olmsted County, Minnesota. Gut 2007;56:504-8.

Bohr J, Tysk C, Eriksson S et al. Collagenous colitis:a retrospective study of clinical presentation and treatment in 163patients. Gut 1996;39: 846-51.