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動画 痛み・鎮痛剤 胃腸・消化器関連

NSAIDsと小腸潰瘍 ~OTC(ロキソニンS)もご注意を~

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NSAIDsと小腸潰瘍 について触れる
NSAIDsを服用して引き起こるもので有名なものは「胃・十二指腸潰瘍」
(ロキソニン®やセレコックス®)
ちなみにロキソニン®なんかはOTCとして購入可能なので特に注意!
補足を参照のこと

①NSAIDsと小腸潰瘍

3ヶ月以上NSAIDsを服用している関節炎患者の71%で
小腸粘膜病変が認められたとのこと

つまり、 NSAIDsの消化管への影響は胃や十二指腸だけでなく
全体的な問題の可能性がある。
そして、かなりの確率で粘膜が何かしらの影響を受けているということ


NSAIDsによる小腸傷害が、
炎症性サイトカインの1つであるTNF-αにより引き起こされることが報告されている。 1999年の医療統計(米国)だが 疾患別の医療統計において、
NSAIDsによる死亡者数が 「白血病」「エイズ」に次いで3位になっている。
衝撃的なデータである。

②特徴

・ほとんど無症候性
・出血による貧血注意
・プロトンポンプ阻害薬(PPI)は無効。
・レバミピド(ムコスタ®)やテプレノン(セルベックス®)などが効果を示す。
新人の頃、セレコックス®と一緒にムコスタ®が処方されていてなぜだろう?
と思っていたが・・・
最近は、上記の理由かな?と考えるようになっている。

※NSAIDsによる消化性潰瘍は服用初期に多い。とくに最初の1週間

③薬剤師としての対応

NSAIDsは漫然と投与されることも多いので
副作用の有無のチェックはしっかり行うべきだろう。

・胃腸のあたりが痛くないか。吐き気はないか
・「下血」「便が黒っぽくないか(黒色便)」はないか
・ヘモグロビンの検査数値が下がっていないか

※抗凝固薬や抗血小板薬を併用しているとリスクが上がるので注意

補足:OTC

ロキソニンS(第一類医薬品)
第一類医薬品は薬剤師による書面での情報提供が義務付けされている。
これは、副作用などで裁判となった場合に重要である。
しっかり情報提供をしていないと責任を問われることになる。
※努力義務なのか。義務なのか。かなり裁判例でも違いが出ている。

ロキソニンSの添付文書を引用すると

「服用後、次の症状があらわれた場合は副作用の可能性がありますので、直ちに服用 を中止し、この文書を持って医師、歯科医師又は薬剤師に相談して下さい。

(1)本剤のような解熱鎮痛薬を服用後、過度の体温低下、虚脱(力が出ない)、
四肢冷却 (手足が冷たい)等の症状があらわれた場合

(2)服用後、消化性潰瘍、むくみがあらわれた場合
また、まれに消化管出血
(血を吐く、吐き気、嘔吐、腹痛、黒いタール状の便、血便等があらわれる)、
消化管穿孔
(消化管に穴があくこと。吐き気、嘔吐、識しい腹痛等があらわれる)、
小腸・大腸の狭窄・閉塞
(吐き気・喧吐、腹痛、腹部膨満等があらわれる)
の重篤怠症状が起こることがあります。
その場合は直ちに医師の診療を受けて下さい。」

今回のテーマである「消化性潰瘍」の注意喚起があるため
十分に説明する必要がある。

おまけ:セレコックスの簡易懸濁法の様子

おまけ:ロキソプロフェンの簡易懸濁法の様子

参考資料
1999年の医療統計(米国)
Toshio Watanabe etc,: Gut 2013.5.21
Cllin Gastroenterol Hepatol; 2005: 3:55-9
第一三共ヘルスケア、ロキソニンS添付文書