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検査値 泌尿器関連

検査値PSAについて~基準値・影響のある薬剤をざっくりと~

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PSA:prostate specific antigen
分子量33000
前立腺特異抗原のこと

①生体内の働き

前立腺に局在するセリンプロテアーゼに分類されるタンパク質分解酵素
精液の粘度を調節する作用がある。
→射精後ゼリー化した精液の液状化に役立つ

②検査値として

医療現場では、「前立腺がん」、「前立腺肥大症」、「前立腺炎」で上昇する。
なぜ前立腺がんなどで血中で上昇するかは分かっていない。
病気をきっかけに精子の通り道から血中に出てしまう・・・
検診における年齢の上限はない

③基準値

基準値:4ng/ml未満
「4ng/ml」を超えると「前立腺がん」を疑う施設が多い。
→前立腺の生検を行う

※ちなみに
前立腺がんと診断される確率は以下のとおり
4~10ng/mlでは30%程度
10~20ng/mlでは30~45%程度
20ng/ml以上では80%程度

④PSAに影響を及ぼす薬剤

5α還元酵素阻害薬は、PSAに影響を及ぼす。
検査値が低く出てしまう。
2ヶ月以上投与している場合は、2倍に換算する。
また、中止後は6ヶ月以内に元(開始前)に戻る。
以下に添付文書の引用を載せる。

フィナステリド(プロペシア®)

「国内で実施した24歳から50歳の男性型脱毛症患者において、血清前立腺特異抗原(PSA)の濃度が約40%低下した。海外臨床試験において、高年齢層の前立腺肥大症患者へのフィナステリド投与により血清PSA濃度が約50%低下した。したがって、本剤投与中の男性型脱毛症患者に対し前立腺癌診断の目的で血清PSA濃度を測定する場合は、2倍した値を目安として評価すること。」

デュタステリド(ザガーロ®)

「本剤は、血清前立腺特異抗原(PSA)に影響を与えるので、前立腺癌等の検査に際しては、以下の点に注 意すること。また、PSAの検査を受ける際には本剤の服用について検査を行う医師に知らせるよう、患者を指導すること。」

「PSA値は、前立腺癌のスクリーニングにおける重要 な指標である。一般に、PSA値が基準値(通常、4.0ng⁄ mL)以上の場合には、更なる評価が必要となり、前立腺生検の実施を考慮に入れる必要がある。なお、本剤投与中の患者で、本剤投与前のPSA値が基準値未満であっても、前立腺癌の診断を除外しないよう に注意すること」

「デュタステリドは、前立腺肥大症患者に0.5mg⁄日投与した場合、前立腺癌の存在下であっても、投与6 ヵ月後にPSA値を約50%減少させる。したがって、本剤を6 ヵ月以上投与している患者のPSA値を評価する際には、測定値を2倍した値を目安として基準値と比較すること。また、PSA値は、本剤投与中止後6 ヵ月以内に本剤投与開始前の値に戻る。なお、 男性型脱毛症患者においても、臨床試験の結果から、 本剤投与によりPSA値が減少すると推測される。」

デュタステリド(アボルブ®)

ザガーロ®と同じ成分であるため添付文書にも
同じような表記がされている
両者は【効能・効果】が違う
ザガーロ®→男性における男性型脱毛症
アボルブ®→前立腺肥大症

参考資料
異常値の出るメカニズム 第4版 p385
前立腺癌診断・治療効果におけるPSAの評価 桶川 隆嗣
Guess, H. A. et al.:J. Urol., 155(1):3, 1996
プロペシア®添付文書