子宮内フローラとラクトフェリン について簡単にまとめる。早産に対する効果について触れる。
子宮内フローラとラクトフェリン
ラクトフェリンとは? (lactoferrin:LF)
ラクトフェリンはエストロゲンにより発現誘導されるため、
子宮内膜細胞に多く存在している。
また、ラクトフェリンの服用により腟内や子宮内の善玉菌を増殖促進する効果が認められ、細菌性腟症や子宮内膜炎の治療に有効だという報告が多い。
ラクトフェリンについては下記を参照のこと
ラクトフェリンとサプリメント・ヨーグルトについて
膣内の環境
腟内には、ラクトバチルスという善玉菌が豊富に存在している。
善玉菌は乳酸や抗菌物質を産生し、病原性細菌などが増殖できないよう酸性の環境を作り、感染症から腟を守っている。
その割合で様々な体への影響があることが分かっている。
微生物環境と妊娠率
※ラクトバチルスに関する報告がある。
子宮内の微生物環境が妊娠率に影響する
「子宮内膜のラクトバチルスが90%以上の女性の場合と
そうでない場合を比較すると着床率、妊娠率、出産率すべてが高い割合となった。」
→ラクトバチルスの割合が多いと子供が出来やすい環境となる
補足:絨毛膜羊膜炎は早産の原因となる
子宮内は以前は無菌だと考えられていたが、
最近は、細菌叢(フローラ) が存在することが分かっている。
子宮内膜炎は腟からの感染が多い。
起因菌:連鎖球菌・ブドウ球菌・大腸菌・嫌気性菌など
妊娠期にこれらの菌が、絨毛や羊膜に感染すると
絨毛膜羊膜炎となり早産の原因となる。
ラクトフェリンの早産に対する効果
ラクトフェリンは、細菌性膣炎が原因で早産を繰り返す女性に対して効果がある。
「早産を繰り返す難治性細菌性膣炎の女性6名に対し
ラクトフェリンを投与(経口のみ、あるいは、経口+経膣)した場合、
ラクトバチルスの増加が全ての対象者に認められた。
6名中5名が継続妊娠に至り、すべて35週以降の出産となった。」
→早産を繰り返す方は試す価値があるのではないだろうか。
ラクトフェリンの効果
ラクトフェリンを投与すると子宮内のラクトバチルスが増え、妊娠率に差が出る。
「子宮内の検査を行い、ラクトバチルスの割合が90%以下だった女性に対し、抗生物質、乳酸菌、ラクトフェリンの投与を様々組み合わせて行ったところ、
35%の女性でラクトバチルスが90%以上となった。
ラクトバチルス80%以上の群とそれ未満の妊娠率はそれぞれ61%と40%であり、
差が認められた。」
→ラクトフェリンを摂取することで妊娠率が上がる
参考資料
Am J Obstet Gynecol 2016 215(6):684-703
Biochem cell Biol.2017 95 (1):31-33
Reprod Med Biol. 2019 18:72-82