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循環器 高齢者

抗不整脈薬のQT延長について~原因や注意する薬剤などをざっくりと~

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①Vaughan Williams分類

このあたりの話になると、この分類では限界がくるですが、
個人的に「ざっくり」した理解が好きなのでこちらで説明する。
Kチャネル遮断作用(心筋)があるものは「Ⅰa」「Ⅲ」「Ⅳ」である

※Ⅳ型に関しては、ベプリジル(べプリコール®)のこと。
Kチャネル遮断作用があるため、Ⅲ型的なところがある。
知っておいて損はない。

※常用量でも起こす人はいるので注意

※血液検査、血中濃度はすぐ結果が分からないので心電図は大事
Ⅰ型→QRS延長
Ⅲ型→QT延長

②QT延長

QT 延長症候群(long QT syndrome:LQTS)は、
心電図にQT 延長を認め,torsade de pointes(TdP)と呼ばれる
特殊な心室頻拍(ventricular tachycardia:VT)、
あるいは心室細動(ventricular fibrillation:VF)などの
重症心室性不整脈を生じて、「めまい」、「失神」などの
脳虚血症状や突然死をきたす症候群

→心室性の不整脈が生じ、生命に関わってしまう

先天的にQT延長の原因となる遺伝子異常の人が何%かいる。
数はとても少ない。(2500人に1人程度)

必ずしも薬剤性というわけではない。

※抗不整脈薬によるTdPは、
服用開始、増量の数日から数週間後に起きやすい。

③QT延長を起こしやすい人

「高齢者」
「女性」
「カリウムが低い人」
「徐脈の人(心拍数が50回/分未満の不整脈)」
「肝機能低下者」
「腎機能低下者」

→薬が関係しそうなものがちらほら・・・ 

※利尿薬や下剤の効きすぎ、甘草などによる偽アルドステロン症など
による低カリウム血症は注意

④QT延長を起こす薬剤、その他

・向精神薬:フェノチアジン系(クロルプロマジンなど),三環系抗うつ薬など
・抗生物質、抗ウイルス薬:エリスロマイシン,アマンタジンなど
※マクロライド系、ニューキノロン系
・抗潰瘍薬:H2受容体拮抗薬(シメチジンなど)
・消化管運動促進薬:シサプリドなど
・抗アレルギー薬:テルフェナジンなど
・脂質異常症治療薬:プロブコールなど
・有機リン中毒



服薬指導において、①の抗不整脈薬と上記の薬物の併用時は
特に注意が必要である。

「動悸」「ふらつき」「低血糖症状」など薬局でも
常に確認する必要があるだろう。また確認したことを
薬歴に記載するといいと思う。

参考資料・文献
QT延長症候群(先天性・二次性)とBrugada症候群の診療に関するガイドライン(2012年改訂版)ダイジェスト版p4、p15
見ておぼえる心電図のえほん、遠藤明太p21
よくわかるハイリスク薬の服薬指導第2版p136