ポイント バイスピリンのままでは効果発現が遅い!
①効能効果
「下記疾患における血栓・塞栓形成の抑制
狭心症(慢性安定狭心症,不安定狭心症)
心筋梗塞
虚血性脳血管障害(一過性脳虚血発作(TIA),脳梗塞)
冠動脈バイパス術(CABG)あるいは
経皮経管冠動脈形成術(PTCA)施行後における血栓・塞栓形成の抑制
川崎病(川崎病による心血管後遺症を含む)」
非常にたくさんの適応がある・・・
今回は「心筋梗塞」の急性期の場合に注目する。
②用法用量(使用上の注意)
「急性心筋梗塞ならびに脳梗塞急性期の初期治療において,
抗血小板作用 の発現を急ぐ場合には,初回投与時には本剤をすりつぶしたり,かみ砕 いて服用すること」
「心筋梗塞患者及び経皮経管冠動脈形成術(PTCA)施行患者
の初期治療においては,常用量の数倍を投与することが望ましい」
→添付文書にも「すりつぶしたり、噛み砕いて」と記載がある。
なぜ?なのかざっくり整理する
③理由
アスピリンの原末や素性であれば・・・ 抗血小板作用は15~30分である。
しかし、バイアスピリン®は、胃腸障害を防止するために腸溶錠となっている。
腸溶錠だと薬効を発揮するアセチルサリチル酸が
小腸にいって初めて放出されるため効果の発現が遅い。
詳細
バイアスピリン® Tmax 4時間
アスピリン素錠 Tmax 0.55~0.58 時間 (100~300mg 空腹時単回投与)
↓
そのため、 スピード勝負の急性心筋梗塞や脳梗塞急性期の初期治療の際
初回投与時に粉砕または噛み砕くことで、早く血小板凝集抑制作用が期待できる
服用後15分くらいで効果が出る。
インタビューフォームによると
「本剤は粉砕又はかみ砕くことにより,速やかな吸収と
血小板凝集抑制作用が発現する.健康男性被験者10 例(20~33 歳)に対し,アスピリン腸溶錠325mg をか み砕いて服用させた場合(空腹時単回投与)の血小板凝集抑制の時間推移 について検討した.服用15 分後にはADP 及びアドレナリンにより誘発さ れた血小板凝集を10 例中7 例で完全に抑制し,30 及び60 分後には10 例 全例で完全に抑制した.また,血清中TXB2 は以下に示すように,服用15 分 後には著明に低下し,30 及び60 分後もその状態が継続した」
→ほぼ15分で効果が発現することが示されている
参考資料
バイスピリン添付文書、インタビューフォーム
アスピリン「バイエル」インタビューフォーム
Ryan, T. J. et al.:J. Am. Coll. Cardiol.,28(5), 1328(1996)
Jimenez AH et al.:Am J Cardiol 69,258-262(1992)