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漢方薬とインフルエンザについて~適応症の細かい話と麻黄湯~

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インフルエンザに対してはメーカーによっても適応症の表記が異なる 頭の中に入れておいてはどうだろう(保険が通るかどうかは別の話だが・・・)
ちなみによく用いられる「ツムラ」「クラシエ」について

おまけ:インフルエンザと麻黄湯について

①ツムラ

・ツムラの漢方薬に効能効果として「インフルエンザ」の直接的記載があるもの
下記2つ
「麻黄湯」 「竹筎温胆湯」

・メーカーの説明ではインフルエンザと同意の「流感」の表記があるもの
「柴胡桂枝湯」のみ

②クラシエ

クラシエの漢方には上記のような「直接的」添付文書上の記載はない。
もしも医師からインフルエンザで問題なく使えるものは? と聞かれたら、
まず上の3つを伝えてはどうだろう。
あとは 急性期であれば「麻黄湯」
インフルエンザ後の咳が長引くときは「竹筎温胆湯」
胸脇苦満(肋骨下部の張り)があるものは「柴胡桂枝湯」
など色々な考えがあると思うので「証」を診ながら判断が必要

③補足:麻黄湯

麻黄湯とオセルタミビル(タミフル®)の併用による解熱作用

インフルエンザに対してオセルタミビルと麻黄湯併用することで
解熱までの時間の比較を検討した報告がある。
結果として併用することで解熱するまでの時間が短縮する。

「患者はアセトアミノフェン等を服用せず、6 時間毎体温を記録した。
治療開始後から解熱までの時間の中央値は
オセルタミビル+麻黄湯で18 時間、
オセルタミビル単体で24 時間、
麻黄湯単体 で15 時間となっている。」

インフルエンザに罹ったら、とりあえず麻黄湯を併用するとよい可能性がある。
オセルタミビル単体と他2つの有意差は出ている。
この試験は解熱するまでの時間しか見ていない。

解熱作用だけではない?

インフルエンザA抗原が陽性と判明し た患者45名を対象
麻黄湯を投与する群と非投与群に無作為(ランダム)に振り分 けて
有用性について検討された報告

「・麻黄湯のインフルエンザ感染後の解熱作用は、抗イ ンフルエンザ薬と同等。
・麻黄湯では,インフルエンザ感染後の頭痛・筋肉痛・咳・倦怠感の自覚症状に対し、オセルタミビルやザナミビルと同等の効果が認められた。
・関節痛に関しては,オセルタ ミビルに比較して有意に麻黄湯に優れた効果が示された。」

→解熱作用だけでなく、「関節痛」「頭痛」などに有効の可能性がある

予防効果も麻黄湯にはあると言われているので
今後はそちらも調べたいと思っている。

参考資料
ツムラ 各添付文書、メーカー問い合わせ
クラシエ 各添付文書、メーカー問い合わせ

Kubo T, Nishimura H. Antipyretic effect of Mao-to, a Japanese herbal medicine, for treatment of type A influenza infection in children. Phytomedicine 2007; 14: 96-101 CENTRAL ID: CN-00577142, Pubmed ID: 17141491

Saita M, Naito T, Boku S, et al:The efficacy of mahuang- tang(maoto) against influenza. Health, 2011;5: 300〜303.