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妊婦に対する抗凝固薬について~ワーファリンとDOACの記載の違い~

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妊婦に対する経口抗凝固療法について
肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断,治療,予防に関するガイドライン(2017年改訂版)より抜粋する。
わかりやすいのでオススメ

ワーファリン®は特に注意が必要
DOACは、イグザレルト®が特に注意

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①ワーファリン®について

ガイドラインより抜粋

「ビタミンK拮抗薬は胎盤を通過する。
妊娠6~12週で「鼻形成不全」および「点状骨端異形成からなる胎芽病」が、
それ以降では「中枢神経系の異常(神経発達異常)」や「胎児出血」がみられる

通常は妊娠中のワルファリン 投与を避ける。
しかし,機械弁置換術を受け人工心臓弁を装着している妊婦においては、
胎児異常と母体血栓症リスクを比較しながら個々に検討する」

添付文書の記載は?

・禁忌項目の記載
「妊婦又は妊娠している可能性のある女性」

・特定の背景を有する患者に関する注意
「妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。本剤は胎盤を通過し、点状軟骨異栄養症等の軟骨形成不全、神経系の異常、胎児の出血傾向に伴う死亡の報告がある。また、分娩時に母体の異常出血があらわれることがある」

やはり、かなり特定の条件の人にしか使えないので
患者背景が分からない場合は、疑義照会が必要だろう

②DOACについて 

ガイドラインに分かりやすく記載があるので抜粋

「DOACは4剤(ダビガトラン,エドキサバン,アピキサバン,リバ-ロキサバン)ともすべて乳汁中への移行が認められているので授乳は避けさせるが,
妊婦への投与に関しては,
添付文書上禁忌となっているのはリバ-ロキサバンのみで,
他の3剤は「妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には,
治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する」
となっている。
しかし、胎児への影響および乳幼児の長期予後が明らかでないので,
現時点では妊婦への投与は推奨されていない」

商品名:
ダビガトラン(プラザキサ®)
エドキサバン(リクシアナ®)
アピキサバン(エリキュース®)
リバーロキサバン(イグザレルト®)


リバーロキサバン(イグザレルト®)

たしかに添付文書の禁忌項目に記載がある

「妊婦又は妊娠している可能性のある女性」
「妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。
動物実験で胎盤通過性(ラット)、子宮内出血、母動物に毒性があらわれる用量で総奇形発生率の増加(ウサギ)、死産の増加等の胚・胎児毒性、出生児の生存率低下及び一般状態の悪化(ラット)が報告されている」

→動物レベルとはいえリスク↑の記載あり

参考資料
各製剤添付文書

肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断,治療,予防に 関するガイドライン(2017年改訂版)

Bates SM, Greer IA, Hirsh J, et al. Use of antithrombotic agents during pregnancy: the Seventh ACCP Conference on Antithrombotic and Thrombolytic Therapy. Chest 2004; 126 Suppl: 627S-644S.

小林隆夫.血栓塞栓症合併妊娠.日本産婦人科・新生児血液学 会編.産婦人科・新生児領域の血液疾患診療の手引き.メディカ ルビュー社 2017: 41-52.

Bates SM, Greer IA, Middeldorp S, et al. VTE, thrombophilia, antithrombotic therapy, and pregnancy: Antithrombotic Therapy and Prevention of Thrombosis, 9th ed: American College of Chest Physicians Evidence-Based Clinical Practice Guidelines. Chest 2012; 141 Suppl: e691S-e736S

Cohen H, Arachchillage DR, Middeldorp S, et al. Management of direct oral anticoagulants in women of childbearing potential: guidguidance from the SSC of the ISTH. J Thromb Haemost 2016; 14: 1673- 1676.

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