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感染症・抗菌薬 歯科

ミノサイクリン(ミノマイシン®)の特徴・副作用について~歯牙の着色も~

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①ミノサイクリンの特徴

・バイオアベイラビリティ95%
・腎機能低下者でも用量調節不要
・スペクトルが広域だが・・・第一選択として使うものが少ない
→「ブルセラ症」、「ライム病」、「リケッチア症」
「肺炎マイコプラズマ、肺炎クラミジアによる非定型肺炎」、
「オウム病」、「クラミジア感染症」、「ツツガムシ病」など
βラクタム系にアレルギーを有する場合の代替薬

※ライム病:ダニを介して起きるスピロヘータによる感染症
※旅行者ということになるが、マラリアの予防として使える

②副作用について

添付文書より引用
「主なものは腹痛(3.07%)、悪心(3.04%)、食欲不振 (1.88%)、胃腸障害(1.13%)等の消化器症状、めまい感(2.85%)などであった。[承認 時から1975 年までの集計3)] 」

前庭障害

「めまい」、「ふらつき」の副作用を起こしやすい。
中耳での濃度が上昇することで前庭障害を起こすことがある。悪心嘔吐など注意が必要 。

歯牙の着色

テトラサイクリン系(今回のミノサイクリン)を石灰化期に服用すると歯牙着色を起こす。

・胎児→骨形成不全
・小児→エナメル質形成不全、歯の色調変化
※妊婦や8歳以下の小児には禁忌

歯の石灰化は、乳歯では妊娠4ヶ月~生後11ヶ月頃まで起こる。
永久歯では8歳頃まで注意。8歳くらいまで着色する可能性がある。
※他剤が使えないときに用いる。

8歳以降では着色しないが、不可逆的な着色なので注意

※総投与量が多いと起こりやすい
総投与量が3g以上あるいは投与期間が10日以上になると着色が起こりやすくなる
と言われている。

補足
金属イオンとキレートを作るので
ミノマイシンとリン酸Ca複合体が、
石灰化が進行中の歯に沈着して着色を起こす。

③施設に入所している方などへの注意点

施設に入所している方などへの注意すべき点を抜粋するといくつかある。
上記でも述べた内容もあるが3つ考えてみた。

相互作用について

カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、ランタン又は鉄剤との飲み合わせ

ミノマイシンと2価または3価の「難溶性キレート」を作ってしまい
吸収を阻害してしまう

・対策 間隔を2時間以上あけるとよい

※個人的な失敗談

酸化マグネシウムなどは併用してないかしっかり見ていたが
施設において、毎日の食事やおやつとして「牛乳」が出されているケースがあった。
必ず施設などで牛乳などが提供されていないか確認して説明する必要がある。
何も確認せずに出してしまい、失敗したことがある。

副作用面

副作用に注意する。上記でも述べている。
「胃腸障害」と「めまい感」
特にめまい感は3%程あるので注意する。

添付文書上の記載として
「めまい感があらわれることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作及び高所での作業等に従事させないように注意すること。」

高齢者は「転倒」など注意する必要がある。

服用時の注意

添付文書の注意点に
「食道に停留し、崩壊すると食道潰瘍を起こすことがあるので、 多めの水で服用させ、特に就寝直前の服用等には注意すること。」

ということは・・・
「寝たきりの方」などは注意が必要・・・
施設に入所している方であれば確認した方がよい

参考資料
ミノマイシン®添付文書、インタビューフォーム