" />

胃腸・消化器関連 薬物動態・相互作用

メトクロプロミド(プリンペラン®)とドンペリドン(ナウゼリン®)の違い~「食前」の理由?と脳内移行性~

スポンサーリンク

あくまでもメーカーとしては「食前」推奨されている。
ただ、色々なケースがあるので疑義照会をしたり確認をしよう

①食前の理由?

メトクロプラミド(プリンペラン®)

胃運動の低下に対して、胃や十二指腸の運動を亢進させることにより
胃の内容物を排泄促進させる効果があるため 「食前」と指定されている。

胃の運動が低下しているのに
あえて物を胃袋に入れるなということでしょうか
残念ながら食後の薬物動態のデータはない

気になるデータ 「食後」服用の場合
30例を対象に試験したデータ
著効例23.3%
有効以上が63.3%

「食後」でも一定の効果はある・・・
効くまでの時間に影響が出ているかは不明である。

ドンペリドン(ナウゼリン®)

メトクロプラミド(プリンペラン®)と違い
食後服用時の薬物動態データあり

ラットに ドンペリドンを経口投与したときの吸収は、

・絶食条件
「きわめて急速で、血漿中濃度は投与後15分で最高の血漿中濃度に達し、
2時間後に再びピークが現れた。」

・非絶食下
「 吸収の遅延がみられ、投与後30 分に最高の血漿中濃度が認められたあと、
8~10時間の半減期で消失した。」



効くまでの時間が2倍に延長されている。
どれくらい吸収されたり、効き目にどれくらい影響するかは不明
※緊急時は「空腹時」つまり「食前」がいいだろう。早く効く!

※一包化する際は、「食後」のこともあるが、疑義照会は必要だろう。

②脳内移行性

どちらもD2受容体遮断薬作用により薬効を示す。
中枢移行性が異なる部分に違いがある。

メトクロプラミド(プリンペラン®)

「中枢」の消化管機能を調節する部分に作用し、消化管運動を亢進させ、
胃部停滞や吐き気を抑える

→中枢移行性が高い

ウサギを用いた静注の試験では、脳内と脳外の血中濃度比が100%
また、ラットのグリア細胞を用いた試験でも血液脳関門(BBB)の通過性100%

→「眠気」や「錐体外路障害」の理由である。
残念ながら明確な頻度は不明、ただし、中枢移行性が高いため注意必要
その反面、中枢からくる吐き気に効果がある。

※錐体外路障害 「四肢のふるえ」や「勝手に体が動いてしまう」など
※服用後1時間で最高血漿中濃度に達するため、効果は速い。

ドンペリドン(ナウゼリン®)

薬理作用はメトクロプラミドとだいたい同じ

脳内移行性がメトクロプラミドより少ない

詳細
「<参考:ラット(放射能濃度での検討)>
14C-ドンペリドン 2.5mg/kg をラットに経口投与したところ、 脳内放射能濃度は投与後 0.25~1時間で最高となり、 その後定常状態に達した時点では血漿中放射能の約1/5で あった ラットに 14C-ドンペリドン2.5mg/kgを経口及び静脈内投与したときの組織内分布はいずれも腸管組織、肝臓、脾臓等に高濃度に分布したが、脳への分布は極めて低かった。 また、蓄積性も認められなかった。」



つまり「20%」程度。



「眠気」や「錐体外路障害」は少ない(0.2%以下)
※服用後1時間で最高血漿中濃度に達するため、効果は速い

補足:使い分け?

・「眠気」などの副作用は、やはりドンペリドンが少ない
・末梢性の吐き気を抑えるならドンペリドンの方が優れている
・精神疾患やアルコール、薬物などによる中枢性の吐き気はメトクロプラミド
の方がよさそう
・効く速さはデータ上大差なし
・メトクロプラミドは妊婦が飲める・OK
・ドンペリドンは妊婦が飲めない・NG

参考資料
プリペラン®:添付文書、インタビューフォーム
ナウゼリン®:添付文書、インタビューフォーム
三好秋馬, 他:臨床成人病, 10(10), 1847(1980)