BPDS: behavioral and psychological symptoms of dementia
①認知症のBPDSとは?
BPDS: behavioral and psychological symptoms of dementia
1996年に国際老年精神医学会にて概念が提唱されたものである。
以前は「問題行動」などと言われていた。
認知症の方の7割以上に出現しているという報告がある。
症状
行動的な症状と心理症状があるため、
ざっくり下記に整理した。
・易刺激性、焦燥、興奮、異常行動
→怒りっぽい感じ、すぐに機嫌が悪くなる
「暴言を吐く」「暴れる」「暴力をふるう」など
・妄想、幻覚、夜間異常行動
→被害妄想、幻視
・うつ、不安、多幸感
・アパシー、食行動異常(異食、過食、拒食)
→アパシーに関してはこちらを参照
②BPSDと保険診療について
医師や他の薬剤師から質問があるので一応載せておく。
社会保険診療報酬支払基金より文書が出されているので知っておくと助けになるかもしれない。
抑肝散が用いられることもあるが、今回は、非定型抗精神病薬にスポットをあてる。
錐体外路障害の少ない安全性を求めるのであれば
クエチアピンやアリピプラゾールが使われることが多い。
文言は同じだが、敢えてそれぞれ載せてみた。
一度確認してほしい。
※抑肝散はこちらを参照
クエチアピン(セロクエル®)
適応症(添付文書):統合失調症
『原則として、「フマル酸クエチアピン【内服薬】」を「器質的疾患に伴う •せん妄・精神運動興奮状態・易怒性」に対して処方した場合、当該使用事例を審査上認める。』
ハロペリドール(セレネース®)
適応症(添付文書):統合失調症、躁病
『原則として、「ハロペリドール【内服薬】【注射薬】」を「器質的疾患に伴うせん妄・精神運動興奮状態・易怒性」に対して処方した場合、当該使用事例を審査上認める。』
※ただし、パーキンソン病に対して禁忌であるため注意が必要!
ペロスピロン(ルーラン®)
適応症(添付文書):統合失調症
『原則として、「ペロスピロン塩酸塩水和物【内服薬】」を「器質的疾患に伴うせん妄・精神運動興奮状態・易怒性」に対して処方した場合、当該使用事例を審査上認める。』
リスペリドン(リスパダール®)
適応症(添付文書):統合失調症、小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性
『原則として、「リスペリドン【内服薬】」を「器質的疾患に伴うせん妄・精神運動興奮状態・易怒性」、「パーキンソン病に伴う幻覚」に対して処方した場合、当該使用事例を審査上認める。』
参考資料
Finkel SI, Costa e Silva J, Cohen G, Miller S, Sartorius N: Behavioral and psychological signs and symptoms of dementia: a consensus statement on current knowledge and implications for research and treatment. Int Psychogeriatr 1996; 3 8 Suppl: 497―500
セロクエル®添付文書
セレネース®添付文書
ルーラン®添付文書
リスパダール®添付文書
保医発0928第1号平成23年9月28日
医薬品の適応外使用に係る保険診療上の取扱いについて
社会保険診療報酬支払基金、審査情報提供検討委員会