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生薬・漢方薬

漢方薬の胃腸障害について~「麻黄」・「地黄」・「石膏」に注意~

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①胃腸障害について

「胃がもたれる」「胃の調子が悪い」「胃痛」
「食欲不振」「腹痛」「下痢」など

漢方薬の構成生薬のこともあるし、
服用の際の水分不足も原因となる

原因となる生薬:「麻黄」・「地黄」・「石膏」など

②麻黄

麻黄は、「排水」目的で浮腫などに用いられるが、
脱水を防ぐために「甘草」と一緒に用いられる

成分

エフェドリン、ブソイドエフェドリン

※よく言われるのは、「交感神経の亢進」「動悸」「不眠」などだが、
消化器症状(胃のむかつき)もあるため注意する。

※カフェイン(コーヒー)と服用するときは注意
なるべく同時服用は避けるように指導する

※気管支拡張剤(テオフィリン)との併用注意

麻黄を含む漢方薬

「麻黄湯」、「麻杏甘石湯」など

麻黄を含む漢方薬の添付文書例

ツムラ麻黄湯の引用

慎重投与 (次の患者には慎重に投与すること)

(2)著しく胃腸の虚弱な患者
[食欲不振、胃部不快感、悪心、嘔吐 等があらわれることがある。]
(3)食欲不振、悪心、嘔吐のある患者
[これらの症状が悪化する おそれがある。]

③地黄

原因成分

難消化性の糖類を含む(スタキオース)、フルクトースなど
フルクトースの甘味で胃がもたれる人もいる

※消化器が弱い人、消化機能が弱い人は注意
※胃下垂の人は起こりやすい

地黄を含む漢方薬

「六味丸」、「八味地黄丸」、「牛車腎気丸」など

地黄を含む漢方薬の添付文書例

ツムラ六味丸の引用

慎重投与 (次の患者には慎重に投与すること)

(1)著しく胃腸の虚弱な患者
[食欲不振、胃部不快感、悪心、嘔吐、下痢等があらわれるおそれがある。]
(2)食欲不振、悪心、嘔吐のある患者
[これらの症状が悪化するおそれがある。]

他の地黄の特徴についてはこちらを参照

④石膏

石膏は、体の熱を取る。清熱・解熱作用がある。

成分

硫酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウムなど

※体の冷やす力が弱いために熱がある人には不適
※下痢や軟便を訴える人は注意

石膏を含む漢方薬

「白虎加人参湯」、「麻杏甘石湯」、「防風通聖散」

補足:「麻杏甘石湯」・「防風通聖散」について

体の浮腫を取る目的で「石膏」+「麻黄」の処方となっている。
この場合、胃腸障害に注意することも忘れないこと

※今回の話とは関係ないが、「石膏」+「麻黄」は、
止汗作用があり水を体内に引き込む。

石膏を含む漢方薬の添付文書例

防風通聖散の添付文書(引用)

慎重投与 (次の患者には慎重に投与すること)

1. 下痢、軟便のある患者[これらの症状が悪化するおそれがある。]
2. 胃腸の虚弱な患者[食欲不振、胃部不快感、悪心、
嘔吐、腹痛、軟便、下痢等があらわれることがある。]
3. 食欲不振、悪心、嘔吐のある患者[これらの症状が悪化するおそれがある。]

⑤対策

一般的に漢方は「食前」「食間」「空腹時」の服用である。
しかし、「食後」服用で胃腸障害を回避できる可能性がある。

参考資料
ツムラ麻黄湯添付文書
ツムラ六味丸添付文書
ツムラ防風通聖散添付文書