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循環器 歯科 皮膚科 薬物動態・相互作用

ワーファリン®錠とフロリード®ゲルの併用禁忌について~インシデント事例も交えて~

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ミコナゾール(フロリード®)ゲルは、ワーファリン®やイグザレルト®と禁忌である。割とインシデントも報告されているので整理する。
ちなみに、ワーファリン®は循環器科を含めて内科から処方されやすい。一方、フロリード®ゲルは、歯科から処方されるケースが多いため問題となる。

①併用禁忌について

フロリード®ゲルの主成分であるミコナゾールはCYP3A4の阻害作用が強いため、他の薬剤と併用した際に副作用が増強する場合がある。

添付文書やインタビューフォームの記載はとりあえずチェックしておくべき。

添付文書

「1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

2.ワルファリンカリウム、ピモジド、キニジン、トリアゾ ラム、シンバスタチン、アゼルニジピン、ニソルジピン、 ブロナンセリン、エルゴタミン酒石酸塩、ジヒドロエル ゴタミンメシル酸塩、リバーロキサバン、アスナプレビ ル、ロミタピドメシル酸塩を投与中の患者

3. 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人」


2の項目にワルファリンカリウムとある。一応1つ目に載っているが、併用禁忌がありすぎて見にくいので・・・注意

インタビューフォーム

「製造販売後のワルファリン併用症例において、本剤服用開始が契機となり、著しいINR上昇、出血事象を発現する重篤例が報告され、また併用中止後もワルファリンの作用が遷延し出血を来した症例が報告されていることから、「ワルファリンカリウムを投与中の患者」を「禁忌」に設定した。(2016 年 10 月)
本剤投与開始にあたっては、あらかじめワルファリンの服用の有無を確認すること。ワルファリンを服用している場合は、ワルファリンの治療を優先し、本剤を投与しないこと。」

※ちなみに、シンバスタチン、アゼルニジピン、トリアゾラム、リバーロキサバンも禁忌である。

リバーロキサバン(イグザレルト®)が禁忌なことは、ワーファリン®と同時に覚えておくと整理しやすい

②インシデント例:K県K病院2020

歯科口腔外科受診の患者

口腔カンジダ症、舌尖部良性腫瘍の診断

口腔カンジダ症に対して抗真菌薬フロリード®ゲル1回5g1日4回を処方

外来局所麻酔下で舌尖部腫瘤の切除生検

出血過多(フロリード®ゲル使用3週間使用)

緊急外来受診

口底部、舌根にいたる著名な内出血と創部からの持続性出血

緊急外来時PT-INR:15と異常値と認める

併用薬としてワーファリン®2mg/日があったためビタミンKにて対処

症状改善に至る

※処方医は、ワーファリン®が処方されていることを認識+フロリード®ゲルと禁忌であることを認識不足。

※ワーファリン®は他院からの処方であったが、薬局は同じであったことから調剤薬局での監査不足・・・

以上の事から調剤薬局でしっかりチェック漏れがないようにすべきだと思われる。院外処方せんを考えた上でも存在意義を示すために必要なことだろう

参考資料
フロリード®ゲル、添付文書、インタビューフォーム