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生薬・漢方薬

柴苓湯と腎疾患への使われる例~ちょっとした整理~

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柴苓湯は、小柴胡湯と五苓散の合方であるが、
腎炎やネフローゼ症候群に使われている。
柴苓湯を使うことでステロイドや免疫抑制薬の減量が期待される。
IgA腎症やネフローゼ症候群に使用される。
柴苓湯の透析などに使われる報告だけに絞って整理する

①柴苓湯

構成生薬

柴胡(サイコ)、沢瀉(タクシャ)、半夏(ハンゲ)、黄芩(オウゴン)、
蒼朮(ソウジュツ)、大棗(タイソウ)、猪苓(チョレイ)、
人参(ニンジン)、茯苓(ブクリョウ)、甘草(カンゾウ)、
桂皮(ケイヒ)、生姜(ショウキョウ)

白朮の方が良いという意見もある。
蒼朮と白朮違いはこちらを参照

適応の人とは?

小柴胡湯の証に浮腫、口渇、尿が少ない、嘔吐、下痢などの水湿の症候を伴うもの。水毒の状態

ポイントは、口渇、悪心嘔吐、尿が出ず浮腫傾向、胸脇苦満

参考:ツムラの添付文書の記載

「吐き気、食欲不振、のどのかわき、排尿が少ないなどの次の諸症:
水瀉性下痢、急性胃腸炎、暑気あたり、むくみ」

薬理作用(臨床試験で分かっているもの)

・遠位尿細管における水の再吸収抑制→尿量増加
・血中のACTH濃度増加→抗炎症作用

②透析患者における漢方治療

腹膜透析療法の合併症の被嚢性腹膜硬化症(encapsulating peritoneal sclerosis,EPS)において、
ステロイド薬は早期の腹膜線維化に対して効果がある。
また、柴苓湯は、糸球体腎炎に対して炎症性の線維化に抑制効果がある。

柴苓湯の投与により
下垂体のACTHレベルが上昇するが、これは視床下部の
corticotropin-releasing factor(CRF)の放出の増加することが明らかになっている。ステロイド投与による副腎抑制の回復を早めるデータがある。

参考資料
ツムラ柴苓湯 添付文書

Nakano Y, Suda T, Tozawa F, Dobashi I,Sato Y, Ohmori N, Sumitomo T, Demura H:Saireito(a Chinese herbal drug)-stimulated secretion and synthesis of pituitary ACTH are mediated by hypothalamic conticotropin-releasing factor.neurosci Lett., 160,93-95,1993

Tozawa F, Dobashi I,Horiba N,Sakai K,Suda T:Saireito(a chinese herbal drug) decreases inhibitory effect of prednisolone and accelerates the recovery of rat hypothalamic-pituitary-adrenal axis.Endocr.J.,45,69-74,1998

Asano T, Fujii Y, Numao N,Kageyama Y,Kihara K:The efficiency of Saieri-to for retroperitoneal fibrosis : two case reports. Hinyokika kiyo,52,543-547,2006