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生薬・漢方薬

五苓散と猪苓湯の違いについて~本当にざっくりと~

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①五苓散

五苓散のポイント:体を温め、全身に滞った水を捌く
猪苓湯には、「蒼朮」と「桂皮」が含まれない。

構成生薬

名前の通り、5つの生薬で構成されている。
「水(すい)」に関わる生薬が多い。

茯苓(ブクリョウ)
白朮(ビャクジュツ)
沢瀉(タクシャ)
猪苓(チョレイ)
桂皮(ケイヒ)

使われ方

炎症はなく、全身の水分代謝異常に効果がある。
二日酔いで口渇、むくみがある場合にも使える。

※ちなみに機会があれば詳しくまとめるが
酔った人に対する漢方として
顔が赤くなっている人には、実証の状態なので黄連解毒湯。
顔が青白くなっている人には、虚証の状態なので五苓散を使ったりする。
なので、次の日にぐったり2日酔いの時は五苓散の方が良い。

※小児に用いる場合

下痢や嘔吐で脱水を伴う場合が多いため補気作用があり辛くない「白朮五苓散」が良い。

※飲酒に伴う胃炎のある下痢には、蒼朮の方が良い

蒼朮と白朮の違いはこちらを参照

参考:ツムラ添付文書からの引用(効能効果)

「口渇、尿量減少するものの次の諸症:
浮腫、ネフローゼ、二日酔、急性胃腸カタル、下痢、悪心、嘔吐、めまい、
胃内停水、頭痛、尿毒症、暑気あたり、糖尿病」

暑気あたり?
※夏バテ、熱中症なんかでぐったりした場合に処方されることもある

②猪苓湯

猪苓湯のポイント:体内の炎症や熱感の滞りを解消する
五苓散には「アキョウ」と「滑石」が含まれない。

構成生薬

五苓散と生薬の数は5つで同じである。

沢瀉(タクシャ)
猪苓(チョレイ)
茯苓(ブクリョウ)
阿きょう(アキョウ)
滑石(カッセキ)

使われ方

体内に炎症があり、熱感を滞っている者。
また、腸内の水分に溜まっており排出されなくなっている者に用いる

五苓散との違い

五苓散から「蒼朮」と「桂皮」と除いて
「阿きょう(アキョウ)」と「滑石」を加えたものである。

この2つの生薬に注目するとイメージしやすい。

・阿きょう(アキョウ)→止血作用
・滑石(カッセキ)→消炎、利尿作用

「蒼朮」がないので健胃作用は期待できない。
また、「桂皮」がないので頭痛やのぼせには期待できない。

※阿きょう(アキョウ)があるため、血便を伴う下痢にも使える

炎症のある「膀胱炎」などの炎症性の排尿障害や
炎症性の腸疾患に用いることもある。

参考:ツムラ添付文書からの引用(効能効果)

「尿量減少、小便難、口渇を訴えるものの次の諸症:
尿道炎、腎臓炎、腎石症、淋炎、排尿痛、血尿、腰以下の浮腫、残尿感、下痢」

※よく見ると、「二日酔い」とか「暑気あたり」の記載がない。
排尿系の効能が多い・・・
血尿・・アキョウ・・・止血作用・・・
少しは覚えやすくなるかもしれない

参考資料
ツムラ五苓散 添付文書
ツムラ猪苓湯 添付文書