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感染症・抗菌薬 歯科

アムホテリシンB (ファンギゾン®,ハリゾン®)シロップについて~うがいにも使う~

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今回は、 アムホテリシンB のシロップについて触れたいと思う。
時々、歯科の処方せんなどで目にする機会がある。

①アムホテリシンB (ファンギゾン®,ハリゾン®シロップ)について

効能・効果

消化管におけるカンジダ異常増殖

用法・用量

「通常小児に対し 1 回0.5~ 1 mL〔アムホテリシンBとして50~100mg(力価)〕を1日2 ~ 4 回食後経口投与する。」

※小児とあるが、実際臨床上は、高齢者のカンジダ症に出されるケースは多い

薬理作用

【作用①】
真菌の細胞膜のエルゴステロールに結合

細胞膜の透過性を亢進

膜障害

細胞質成分の漏出

死滅

【作用②】
アムホテリシンBによる自己酸化作用

フリーラジカルの産生

細胞障害

使用上の注意

使う前に振とうして服用することが大切である。
また、10倍程度に薄めて服用を指示されることもある。
口の中に時間をかけて広げ(含むイメージ)、少しずつ飲み込むのがポイント

1時間程度は飲食をしないようにと指示が出されることがある。
※なるべく薬と患部を接触させるため。

服薬指導時は、服用後歯磨きをするように伝えること
シロップが黄色なため、歯に色がついてしまう。
磨くことで取れると伝えておくと安心である。

添付文書の記載
「口腔内カンジダ症:舌で患部に広くゆきわたらせ,できるだけ長く含んだ後,嚥下させること。」

「使用前十分振盪して均等な懸濁液とし,経口的にのみ使用すること(注射には使用しないこと)」

「一過性の歯の黄変が認められることがあるが,ブラッシングで簡単に除去できる。」

その他の特徴

消化管からほとんど吸収されないため全身性の真菌感染症には使えない。
吸収されないため、全身性の副作用が発現することはない。
副作用としては、消化管系のものが多い。

よくある副作用は下記を参照
「食欲不振2.3%,悪心0.8%,腹部膨満感0.7%,下痢0.6%,嘔吐0.4%」

②アムホテリシンB とうがい

まず、「うがい」なので適応外使用である。ただ、歯科などでは出されることがあるので知っておくと良い

うがいで用いる理由

歯槽膿漏の原因としてカンジダ菌が関与している場合がある。
そのため、口の中だけであれば飲み込む必要はないので「うがい」するのだ。
一般的には、50倍から100倍に希釈して用いる。
用いる希釈液は、滅菌精製水が良い。

【希釈液の安定性】
インタビューフォームより引用
「室温(褐色バイアル瓶)保存は、50倍希釈液で2週間安定。100倍希釈液で1
週間安定。」
「室内散乱光下(無色バイアル瓶)保存は、50倍希釈液で2週間安定」

参考資料
ファンギゾン®シロップ、添付文書、インタビューフォーム
ハリゾン®シロップ、添付文書、インタビューフォーム