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貧血

エベレンゾ について~特徴など~今後追記予定

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エベレンゾ について整理する。一般名は、ロキサデュスタットである。
2021年現在、長期処方が可能なので興味をもつ先生もいるだろう。

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ロキサデュスタットと薬物相互作用 ~エベレンゾを正しく飲もう~

エベレンゾ について

効能・効果

「腎性貧血」

※発売当初は「透析施行中の腎性貧血」だったが、2020年11月に「保存期慢性腎臓病に伴う貧血」にも使用可能となり、効能・効果の部分が「腎性貧血」と変更された。
保存期慢性腎臓病(G3a~G5)の人で22%ほど「腎性貧血」が存在するらしい

【補足:腎性貧血の治療の意義】

腎臓ネット「腎臓病診療の最先端Vol33より」
「腎性貧血は、腎機能障害の進展に伴って合併頻度及びその程度が増悪する。慢性的貧血は、虚血による臓器障害を進展させるため、腎機能障害を更に悪化させること、心血管系合併症を増加させ生命予後にも悪影響をもたらすことが示されており、心・腎・貧血(CRA)症候群という概念が提唱された。」

※CRA:cardio-renal anemia
※服薬指導の際に「飲む理由」について説明するとアドヒアランス向上につながる可能性がある。

【開始の目安】

「赤血球造血刺激因子製剤で未治療の場合、本剤投与開始の目安は、腹膜透析患者及び保存期慢性腎臓病患者ではヘモグロビン濃度で11g/dL未満、血液透析患者ではヘモグロビン濃度で10g/dL未満とする」

※Hbが10以下であれば開始した方がよいとのこと(アステラス勉強会によると)

用法・用量

  • 赤血球造血刺激因子製剤で未治療の場合
    「通常、成人には、ロキサデュスタットとして1回50mgを開始用量とし、週3回経口投与する。以後は、患者の状態に応じて投与量を適宜増減するが、最高用量は1回3.0mg/kgを超えないこととする。」

    →未治療の場合、50mgスタート

  • 赤血球造血刺激因子製剤から切り替える場合
    「通常、成人には、ロキサデュスタットとして1回70mg又は100mgを開始用量とし、週3回経口投与する。以後は、患者の状態に応じて投与量を適宜増減するが、最高用量は1回3.0mg/kgを超えないこととする。」

    →70mgか100mgを使う

    ※週3回の服用なので「月水金」あるいは「火木土」の服用すること
    →服用を助けるカレンダーもメーカーが用意しているので活用するとよい
    ※施設によっては、透析中に服用するケースもあるようだ

飲み忘れた場合の対応

「次のあらかじめ定めた日の服用時間帯と24時間以上間隔があく場合は、直ちに服用すること。ただし、以後はあらかじめ定めた日に服用すること。次のあらかじめ定めた日の服用時間帯との間隔が24時間未満である場合は服用せずに、次のあらかじめ定めた日に服用すること。同日に2回分を服用しないこと。」

※同じ日に2錠飲まないことと24時間というのがポイントである

作用機序・薬理作用

作用機序としては、2つある。「エリスロポエチンを増やす作用」と「鉄利用を増やす作用」である。
結果として、赤血球産生を促進する。

・「赤血球を増やす作用」
転写因子である低酸素誘導因子(HIF:hypoxia inducible factor)の分解に関わるHIF-プロリン水酸化酵素(HIF-PH)を阻害する。(HIF-PHとロキサデュスタットが結合する)

HIF-αの分解が妨げられてHIF経路が活性化される

その結果、エリスロポエチンが増加することにより、赤血球形成が促進される

※普段は、エリスロポエチンがそこまで必要ではないのでHIF-PHが働いてHIF-αが分解されている。
※ロキサデュスタットの服用以外にも低酸素状態でも同様の機序が働き内因性のエリスロポエチンが増えることが分かっている。

・「鉄利用を増やす作用」
簡単に言うと、鉄の吸収を促進して、体の中で鉄が使われやすくする作用がある

肝臓に作用し、鉄の血管内放出促進し、体内の鉄輸送を促進する。
小腸に作用し、鉄の吸収を促進する
マクロファージに作用し、鉄の再利用を促進する

警告

「本剤投与中に、脳梗塞、心筋梗塞、肺塞栓等の重篤な血栓塞栓症があらわれ、死亡に至るおそれがある。本剤の投与開始前に、脳梗塞、心筋梗塞、肺塞栓等の合併症及び既往歴の有無等を含めた血栓塞栓症のリスクを評価した上で、本剤の投与の可否を慎重に判断すること。また、本剤投与中は、患者の状態を十分に観察し、血栓塞栓症が疑われる徴候や症状の発現に注意すること。血栓塞栓症が疑われる症状があらわれた場合には、速やかに医療機関を受診するよう患者を指導すること。」

※そもそも血を濃くする薬剤なので「血栓」には、注意が必要
「手足のまひ」、「しびれ」、「しゃべりにくい」
「胸の痛み」、「呼吸がしにくい」「シャント部位の痛み」
などの症状には気を付けること

その他の特徴

・ESAの注射剤の併用は、おそらく保険上切られる

・ESAの注射剤が効きにくく、高用量を使っている場合、切り替えを考慮する
→医療費の抑制にもつながる

・他の経口のHIF-PH阻害剤より効果の立ち上がりが速い(14日間で立ち上がる)
→他の経口のHIF-PH阻害剤のような切り替え時のHbの記載が添付文書にない

・比較的多い副作用は、「食欲不振」、「下痢」、「悪心」
・ドーピングに引っかかる
→事前に運営側に申請を出す必要がある

・他の経口剤からの切り替えは、未治療の場合と同じ50mgスタートとする

・週3回の服用なのでケースとしてはないと思うが一包化は禁止ではない
・粉砕、簡易懸濁は可能、できる
→温度、湿度、光の安定性試験が行われており3か月目も規格に適合している。
→簡易懸濁した際は、8Frチューブの通過可能

参考資料
エベレンゾ、添付文書、インタビューフォーム
山本裕康:腎臓病診療の最先端Vol.33 腎臓ネット
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