コレクチム軟膏 (デルゴシチニブ)の特徴について簡単にまとめる
2021年3月に小児への適応が拡大されている
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コレクチム軟膏 (デルゴシチニブ)の特徴
まず、ステロイドではないというのがポイントである。JAK阻害剤という位置づけである。
※JAK阻害薬の経口薬は関節リウマチや潰瘍性大腸炎に使われている。
効能・効果
「アトピー性皮膚炎」
※成人だけでなく、2歳以上の小児にも使うことが出来る
※粘膜・びらん部には、使えない
用法・用量
「通常,成人には,0.5%製剤を1日2回,適量を患部に塗布する。なお,1回あたりの塗布量は5gまでとする。
通常,小児には,0.25%製剤を1日2回,適量を患部に塗布する。症状に応じて,0.5%製剤を1日2回塗布することができる。なお,1回あたりの塗布量は5gまでとするが,体格を考慮すること。」
※1日2回使う製剤
※最大で1日5gまで
※1FTUが約0.5gになるように設計されている
1FTU:人差し指の先端から第1関節までチューブから絞り出した量
用法・用量の注意点
「・1回あたりの塗布量は体表面積の30%までを目安とすること。
・0.5%製剤で治療開始4週間以内に症状の改善が認められない場合は,使用を中止すること
・症状が改善した場合には継続投与の必要性について検討し,漫然と長期にわたって使用しないこと。
・小児に0.5%製剤を使用し,症状が改善した場合は,0.25%製剤への変更を検討すること。」
※塗ることが出来る塗布量は決まっている
※効果がない場合は、注意する。
作用機序・薬理作用
簡単に言うと、免疫の活性化のシグナル伝達に必要なJAKを阻害することで
免疫反応の過剰な活性化を抑制する薬である。
デルゴシチニブは、JAKファイミリーを阻害する
※ヤヌスキナーゼファミリー(JAK1,JAK2,JAK3及びTyk2)のすべてのキナーゼ活性を阻害
↓
種々のサイトカインシグナル伝達を阻害
↓
サイトカインにより誘発される免疫細胞及び炎症細胞の活性化を抑制
※T細胞、B細胞、マスト細胞、単球
↓
皮膚の炎症を抑制
↓
さらにサイトカインにより誘発される痒みを抑制
※JAK/STAT 経路を活性化するすべてのサイトカインシグナル伝達を阻害
主な副作用
「主な副作用として、適用部位毛包炎(2.4%)、カポジ水痘様発疹(1%以上)、接触皮膚炎(1%以上)、適用部位ざ瘡(2.2%)、適用部位刺激感(1%以上)、適用部位紅斑(1%以上)」
※経口ではないので感染症の副作用は少ない
特徴
・油脂性懸濁型軟膏剤
・非ステロイド性の世界初の外用 JAK 阻害剤
・ほてり感などの刺激感が少ない
※タクロリムス(プロトピック®)に比べて少ない
・タクロリムス(プロトピック®)などでピリピリ感が強い方には向いている可能性あり
※眼には入れないように
・副作用が少ないので長期間使える
※アトピー性皮膚炎は長期の治療になるのでステロイドやタクロリムス(プロトピック®)などが使えないとか正しく使えない人に向いている。
※炎症が強い場合は、ステロイドが第一選択薬
・ガイドライン上では、保湿外用剤との併用は問題ないとされている
・臨床試験でステロイドと併用した場合の有害事象の増加はないが、併用の際は部位を分けるなど工夫する必要あり?今後調べる予定
参考資料
日本皮膚科学会ガイドライン デルゴシチニブ軟膏(コレクチム® 軟膏 0.5%)安全使用マニュアル
コレクチム軟膏、添付文書、インタビューフォーム