" />

呼吸器疾患

経口ステロイド薬 と喘息について

スポンサーリンク

経口ステロイド薬 と喘息について簡単に触れる。
多くの人が気管支喘息の治療として吸入ステロイドを使っている。ただ、病態が進行すると経口ステロイド薬を使うケースがある。

経口ステロイド と喘息について

経口ステロイド薬を使う際は、期間に関係なく副作用に注意する必要がある。

ガイドライン上の位置づけ

喘息の長期管理の治療ステップは、治療ステップ1から4まで設定されている。
治療ステップ4が一番病態が進行している状態である。
治療ステップ4では、高用量の吸入ステロイドを使用するが、さらに、経口ステロイド薬を併用するケースがある。
つまり、軽症の場合は、喘息の治療として経口ステロイド薬を使うことはない。

経口ステロイド薬を使うメリット

中等度の喘息増悪には必須であり、多くの場合、喘息コントロールに有効である。
飲み薬なので摂取しやすく、薬価も安い。
規格が多く発売されており、用量調節がしやすい。

経口ステロイド薬を使うデメリット

短期的な使用で効果を得やすい。そのため、喘息患者自身が安易に使う事がある。(効く実感がある)
また、ステロイドが効きにくい抵抗性の人がいるので注意である。
吸入ステロイド薬に比べ、経口ステロイド薬は、全身的な副作用がある。さらに、ステロイドが炎症を抑えてしまうため、何かの病気をマスクする可能性があるので気を付ける必要がある。

経口ステロイド薬の副作用(累積の話)

累積なので・・・要するに毎日飲んでいったらどうなの?という話である。
経口ステロイド薬の累積量と自己報告による有害事象の論文がある。
プレドニゾロン10mg/日を6か月、9か月、12か月、18か月と毎日服用していった場合、期間が長くなればなるほど多くなる有害事象がある。
報告されているのは以下の有害事象である。

・睡眠障害
・ざ瘡(ニキビ)
・皮下出血
・体重増加
・気分障害
・高血糖(非糖尿患者)
・白内障
・骨折

※プレドニゾロン10mg/日を毎日18か月飲んだ場合、睡眠障害(2.77%)、ざ瘡(1.63%)、皮下出血(3.04%)、体重増加(2.2%)、気分障害(2.39%)、高血糖(1.82%)、白内障(1.83%)、骨折(1.97%)と報告されている。

経口ステロイド薬の短期的使用では?

実は、少量で短期的使用でも有害事象は起こる。2018年の論文では、喘息患者における経口ステロイド薬を1年に4回以上処方した場合の有害事象のオッズ比が報告されている。オッズ比が1.3から1.5程度の有害事象を以下に示す。

・骨粗しょう症
・高血圧
・肥満
・2型糖尿病
・白内障
・消化性潰瘍

服薬指導の際の工夫

経口ステロイド薬を短期あるいは長期使用する場合、特に区別する必要はないと思う。
薬剤師としては、「血圧」「体重」「眼の異常」「胃の不調」「気分的な変化」「皮膚の異常」
など服薬指導の度に確認することが大切である。

参考資料
アレルギー総合ガイドライン2019
Curtis JR et al : Arthritis Rheum. 55 : 420-426,2006
Sullivan PW. J Allergy Clin Immunol 2018; 141:110-116