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抗腫瘍薬

ベージニオ錠 (アベマシクリブ)の特徴をざっくりと

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ベージニオ錠 (アベマシクリブ)の特徴について
適応症として2つあるので少しややこしいかもしれないが簡単にまとめる。

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ベージニオ錠 (アベマシクリブ)の特徴をざっくりと

▶食事に関係なく飲める
▶下痢の副作用に注意しながら服用する

効能・効果

「〇ホルモン受容体陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌
〇ホルモン受容体陽性かつHER2陰性で再発高リスクの乳癌における術後薬物療法」

※1つ目は、所謂「ステージ4」。2つ目は、「術後で再発リスクが高い方」と覚えておくと良い
※この場合の術後に使える内分泌系の薬としては20年ぶりの新薬

【服薬指導の例】
▶「ホルモン受容体陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌」の場合
「腫瘍が大きくならないように。大きくしないために飲む薬」

▶「ホルモン受容体陽性かつHER2陰性で再発高リスクの乳癌における術後薬物療法」の場合
「がんが再発しないように飲む薬」

どれくらいの期間飲むの?

▶「ホルモン受容体陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌」の場合
→基本的には飲み続ける

▶「ホルモン受容体陽性かつHER2陰性で再発高リスクの乳癌における術後薬物療法」の場合
→2年間は服用する
※休薬期間は入れない
例えば、副作用で半年間休薬していたらトータル期間は2年半服用可能

用法用量

「内分泌療法剤との併用において、通常、成人にはアベマシクリブとして1回150mgを1日2回経口投与する。ただし、術後薬物療法の場合には、投与期間は24ヵ月間までとする。なお、患者の状態により適宜減量する」

※食事に関係なく服用することが出来る

作用機序・薬理作用

細胞周期のG1からS期を止めて、がん細胞の増殖を抑える効果がある。
詳しい話をすると、細胞周期をコントロールする物質に「CDK4」と「CDK6」がある。
アベマシクリブは、CDK4とCDK6 によるretinoblastomaprotein(Rb)のリン酸化を可逆的に阻害することで、細胞周期の進行を阻害して細胞増殖を抑制する。
ER 陽性かつ Rb 陽性の乳癌細胞に効果的であり、濃度・時間依存的な作用を示す。

※CDK:サイクリン依存性キナーゼ
※ER:エストロゲン受容体
※Rb:網膜芽細胞腫蛋白質

使い方

基本的には単剤では使わない。
レトロゾール(フェマーラ®)、アナストロゾール(アリミデックス®)、フルベストラント(エソロデックス®筋注250mg)などと併用して使う。

※フルベストラントの場合は注射なので処方箋上はベージニオ錠単剤に見えることがあるので注意。

副作用の話

【頻度が高いもの:下痢】
▶下痢は約80%の人に生じる。
▶飲み始めて1週間に起こりやすい
▶初期症状:排便回数が増える、普段より便が柔らかい
▶対策:ロペラミド、ミヤBM、ビオスリー、水分補給

【最も気を付けるもの:間質性肺疾患】
▶初期症状:「息切れ」、「咳」、「発熱」

【その他の注意する副作用:静脈血栓塞栓症】
▶初期症状:「手足の腫れ、痛み、息切れ、胸苦しさ等」

※他には、吐き気、腹痛、疲労、脱毛など

「ホルモン受容体陽性かつ HER2 陰性の乳癌患者を対象とした本剤と術後内分泌療法の併用投与による無作為化非盲検試験(monarchE 試験)において、本剤が投与された 2791 例(日本人 181 例を含む)に認められた主な副作用は、下痢(79.1%)、好中球減少症(42.6%)、白血球減少症(34.4%)等であった(IDFS の主要解析時点)。重大な副作用として、肝機能障害、重度の下痢、骨髄抑制、間質性肺疾患、静脈血栓塞栓症があらわれることがある。」

その他の特徴

▶一包化✕
▶粉砕✕
▶グレープフルーツの飲食は避けること

【参考資料】
ベージニオ、添付文書、インタビューフォーム