ヨーグルト の違いについて触れる。
とてもたくさんのヨーグルトが市販されているため
それぞれの機能について知っておくと良いと思い整理した。
患者からの質問も多い項目であるため、今後も追記予定
ざっと対象となる人をまとめると
・LC1、LG21→胃腸が気になる人
・ロイテリ菌→口内環境が気になる人
・PA-3→尿酸値が高い人
・R1→風邪やインフルエンザにかかりたくない人
ちなみに、私個人としては記事の末に載せたヨーグルトメーカーで
毎日ヨーグルトライフをおくっている。
仕事柄風邪を引きたくないのでR1を食べている。
①ヨーグルト とは?
ヨーグルトは「牛乳」+「乳酸菌」というもの
牛乳に含まれるたんぱく質、カルシウムビタミンなどを含む。
牛乳よりも栄養が吸収されやすい形になっている。
(カルシウム→乳酸カルシウムに変化していたりする)
乳糖不耐症の人にも飲みやすい。
一部の乳糖が乳酸菌により分解されている。
機能性ヨーグルトとは、含まれている乳酸菌がもつ
生理機能が学術研究のデータで裏付けられ、
それを付加価値として開発されたヨーグルトのことである。
②LC1(Lactobacillus johnsonii La1 株)
ネスレLC1ヨーグルトとして販売されている。
LC1 乳酸菌は、生きて腸まで届き、腸壁に接着する。
↓
・おなかのウエルシュ菌などの有害菌を減少らす。
・ビフィズス菌などの有用菌を増やす。
・病原菌の物理的排除
・免疫細胞活性化(血清IgAなど)
・ピロリ菌の抑制効果
補足:LC1によるピロリ菌抑制効果
1997年にその効果が特許で認められているらしい
・LC1株培養上清を用いた場合
・LC1株の入ったヨーグルトと抗生物質クラリスロマイシンを併用した場合
・ヨーグルト単体を用いた場合
以上の3つが行われており
炎症の軽減、ピロリ菌密度の低下、ウレアーゼ活性の減少が認められている。
③LG21(Lactobacillus gassri OLL2716)
明治プロビオヨーグルトとして販売されている。
ピロリ菌を抑制する効果がある。
「ピロリ菌に感染している健常患者に毎日112gを2個、
8週間食べてもらったところピロリ菌の菌数が減少した」
「ピロリ菌陽性患者229名における
除菌通常療法と
除菌通常療法+LG21乳酸菌入りヨーグルト併用群の比較で
併用群の方が除菌率が高かった」
といった報告がある。
胃腸が弱い方にはLC1やLG21がオススメである。
④ロイテリ菌(L.reuteri DSM 17938株)
ロイテリヨーグルトOHAYOとして販売されている。
口腔内フローラを良好して、歯ぐきを丈夫で健康に保つ機能が報告されている。
胃酸、胆汁に強く消化されにくい消化管に定着するため体の中に長く留まる。
口内環境が気になる人は、このヨーグルトがオススメ
⑤Lactobacillus gasseri PA-3
明治プロビオヨーグルトPA-3として販売されている。
PA-3はプリン体を取り込み、菌体の増殖にプリン体を利用する。
イメージするために試験内容を以下に載せるので参照して欲しい。
「L. gasseri PA-3の効果について血清尿酸値を指標に ヒトで検証した。
臨床試験はプラセボ対照二重盲検比較試験により実施した.
試験対象者は年齢35歳以上60歳未満の成人男性で
血清尿酸値 が6.0 mg/dL以上8.0mg/dL未満の者とし、
14名(平均 年齢44.3歳)で行った。
試験食品としてL. gasseri PA-3 を配合したヨーグルトまたは
L. gasseri PA-3を配合し ていないヨーグルト(以下,コントロールヨーグルト)
を用い,4週間摂取させた。
その結果,L. gasseri PA-3 配合ヨーグルト摂取群では
コントロールヨーグルト群と比較して血清尿酸値が低値で推移した。
PA-3がプリンヌクレオシドを腸管から吸収されにくいプリン塩基
に分解することに加え、菌体自身がプリン体を取り込むことによって,腸管におけるプリン体吸収量 を減少させていると推察された。」
尿酸値が気になる人は、これが良さそう!
数値が高くて様子を見ている方は試してはどうだろう
⑥R-1(Lactobacillus bulgaricus OLL1073R-1)
明治プロビオヨーグルトR-1として販売されている
インフルエンザに良いなどよく言われている。
以下のような効果が報告されている。
・ヒトでのINF‐γのF産生を誘導しNK活性増強効果があり、
風邪罹患リスクを低減
・ヒトでのインフルエンザワクチン接種後の抗体産生増強作用
・マウスでのインフルエンザウイルス感染後の生存率が向上とIgAやIgGの増加
風邪やインフルエンザが気になる人、子供なんかは
R1がいいかもしれません
⑦ラクトフェリン(LF)
ラクトフェリンヨーグルトに関しては下記を参照
ラクトフェリンヨーグルトとサプリメント
⑧ガセリ菌SP株
ガセリ菌SPについては下記を参照
ガセリ菌SPの効果
参考資料
Felley CP, Corthesy-Theulaz I, Rivero JL, Sipponen P, Kaufmann M, Bauerfeind P, Wiesel PH, Brassart D,Pfeifer A, Blum AL, Michetti P. 2001. Favourable effect of an acidified milk (LC-1) on Helicobacter pylori gastritis in man. Lippincott Williams&Wilkins 13:25-29.
Michetti P, Dorta G, Wiesel PH, Brassart D, Verdu E,Herranz M, Felley C, Porta N, Rouvet M, Blum AL,Corthesy-Theulaz I. 1999. Effect of whey-based culture supernatant of Lactobacillus acidophilus (johnsonii) La1 on Helicobacter pylori Infection in Humans. Digestion 60: 203-209.
Mattila-Sandholm T, Blum S, Collins JK, Crittenden R, de Vos W, Dunne C, Fondên R, Grenov G, Isolauri E, Kiely B, Marteau P, Morelli L, Ouwehand A, Reniero R, Saarela M, Salminen S, Saxelin M, Schiffrin E, Shanahan F, Vaughan E, von Wright A. 1999. Probiotics: towards demonstrating efficacy. Trends in Food Sci Technol 10: 393-399.
Marteau P, Vaerman JP, Dehennin JP, Bord S, Brassart D, Pochart P, Desjeux JF, Rambaud JC. 1997. Effects of intrajejunal perfusion and chronic ingestion of Lactobacillus johnsonii strain Lal on serum concentrations and jejunal secretions of immunoglobulins and serum proteins in healthy humans. Gastroenterol Clin Biol 21: 293-298.
Deguchi R et al. Effect of pretreatment with Lactobacillus gasseri OLL2716 on first-lineHelicobacter pylori eradication therapy. J Gastroenterol Hepatol. 2012, 27(5), 888–892.
Sakamoto I, Igarashi M, Kimura K, Takagi A, Miwa T, Koga Y Suppressive Effect of Lactobacillus gasseri OLL 2716 on Helicobacter pylori Infection in Humans The Journal of Antimicrobial Chemotherapy 47(5): 709-710(2001)
https://ohayo-reuteri.com/
プロダクト イノベーション
プリン体吸収低減作用を有する新規機能性ヨーグルトの研究開発
株式会社 明治 研究本部 食機能科学研究所 山田成臣,狩野 宏,浅見幸夫
免疫調整作用に着目したヨーグルトの開発と生理効果の応用展開
逸見隼他、日本栄養・食糧学会誌第71巻第2号99‐102(2018).