ノベルジン (酢酸亜鉛水和物製剤)の特徴と注意点について触れる
今回は、低亜鉛血症に用いる場合をメインに整理する。
今でもプロマック®も使われるが、適応症としてしっかり書かれているので
知っておいた方がいいと思う。
低亜鉛血症とガイドラインはこちらの記事を参照
低亜鉛血症の治療や診断基準はこちらを記事を参照
①ノベルジン の特徴
作用としは、低亜鉛血症に対して用いる場合は、単純に亜鉛を補充するイメージでOK。
用法用量
「通常、成人及び体重30kg以上の小児では、亜鉛として、1 回25~50mgを開始用量とし1日2回経口投与する。通常、体重30kg未満の小児では、亜鉛として、1回25mgを開始用量とし1日1回経口投与する。血清亜鉛濃度や患者の状態により適宜増減するが、最大投与量は成人及び体重30kg以上の小児では1 日150mg(1回50mgを1日3回)、体重30kg未満の小児では75mg(1回25mgを1日3回)とする。なお、いずれの場合も、食後に投与すること。」
※30㎏未満の小児には、25mgからスタートする
※「食後」の服用
「食後」の服用?
低亜鉛血症では、空腹時の服用だと胃腸障害が出やすいので「食後」服用となっている。
ウィルソン病(肝レンズ核変性症)では、
「食前1時間以上又は食後2時間以上あけて投与すること」となっている。
低亜鉛血症に用いる場合は、少し緩くしてあるが、
なぜかというと・・・
添付文書の使用上の注意によると
「食物と同時摂取した場合、本剤の効果が遅延するおそれがある」
※フィチン酸と繊維を含む食品と同時に摂ると・・・
↓
亜鉛と結合し、腸管細胞への亜鉛の取り込みを阻害する
↓
亜鉛の吸収が遅延する。
そのため、厳密に「空腹時」の服用が指示されている。
簡単に言うと、ウィルソン病の方が重篤性があるため飲み方が厳しい。
※どんな食べ物?
結構何でも影響する
「パン」、「野菜」、「果物」、「卵」、「ミルク」、「コーヒー」など
②ノベルジン の注意点(低亜鉛血症患者に対する適正使用)
医薬品リスク管理計画書(RMP)にしっかり書かれている。
重要な特定されたリスク「銅欠乏症」の「重要な特定されたリスクとした理由」に「本剤投与により栄養状態不良の患者で銅欠乏に伴う汎血球減少、貧血や神経障害が報告されている」旨を追記すると書かれている。
銅欠乏症が起こる機序
ウィルソン病に対する目的の機序が原因となっている。
腸管粘膜細胞でのメタロチオネインの発現誘導が分かっていて
発現したメタロチオネインに食物由来の銅が結合することにより、銅の吸収が阻害されると報告されている
銅欠乏症の症状
「汎血球減少」、「貧血」、「神経障害」が現れた報告がある。
※白血球減少、好中球減少、血小板数減少、貧血(Hb)
歩行障害、痙性歩行など
※亜鉛に加えて定期的に銅の測定も行う必要がある
血清銅値としては、
40μg/dLを下回った場合に発現してきて、20μg/dL以下で顕著に多くなっている
薬局での工夫
・貧血症状の有無の確認
・採血結果が見れれば、銅の数値はなかなか難しいかもしれないが
白血球や血小板、Hbなどが低くなっていないかチェックしてはどうだろうか
その他の注意点
・漫然と投与しないことと添付文書にあるため、必要かどうかの判断を適宜しないといけない
・抗生剤やキレート剤などと1時間あける必要がある
参考資料
Yuzbasiyan-Gurkan V, et al. Treatment of Wilson’s disease with zinc:
Ⅹ. Intestinal metallothionein induction. J Lab Clin Med
1992;120(3):380-6
ノベルジン®添付文書、インタビューフォーム
医薬品リスク管理計画書(RMP) ノーベルファーマ株式会社