チモプトールXEとリズモンTGの違い について~チモールを1日1回で済ませるために~
どちらもチモールマレイン酸塩点眼である。
元々1日2回必要だった点眼製剤を1日1回で済ませるために考えられた。
何らかの方法で外眼部に薬剤を滞留させることで1日1回でもいいように製剤的な工夫がされている。
チモプトール®XE→涙と反応してゲル化
リズモン®TG→温度でゲル化
どちらもゲル化するため、他の点眼薬と併用する際は「最後」
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①製剤的違い
チモプトール®XEについて
チモプトール®XEは眼表面で涙液中のナトリウムイオンと重合体を形成し、
ゲル化するジェランガムを配合している。
※このため、他点眼剤と併用で用いる場合には、本剤を最後に点眼することとなっている
※なぜ?
眼の表面にゲルが残っていると、他の点眼薬の吸収を抑制してしまうため、
効果が十分に期待できない可能性がある。
「最後」と添付文書にも記載されている
※その他の注意
添付文書より引用
「点眼直後、製剤の特徴として眼の表面で涙液と接触することにより点眼液がゲル化するため、霧視又はべたつきが数分間持続することがあるので、このことを患者に十分説明し、注意させること。」
↓
「べたつき」や「視界が曇る」ことは言っておいた方がいい。
意外とビックリするので初めてであれば指導しよう。
※使う前のちょっとした注意
添付文書の端に下記のように書かれている。
「使用時、キャップをしたまま点眼瓶を下に向け、1回振ってから
(何回も振る必要はない)キャップを開けて点眼すること」
↓
1回振ってから使う必要があるので説明すること
保存している段階で粘性が増すので、振ることで流動性が戻る
リズモン®TGについて
眼表面の「熱」によってゲル化する。
可逆的ゾル-ゲル相転移特性を持つメチルセルロースが添加されている
熱応答ゲル技術が使われている。
通常、メチルセルロースのゲル化温度は約55℃であるが、
クエン酸ナトリウムを添加することでゲル化温度を眼表面の32~34℃にまで下げている。
(製剤的な技術ってロマンを感じる・・すごい!)
※他の点眼剤を併用する場合には,本剤投与前に少なくとも 10 分
間の間隔をあけて投与する必要がある。
↓
他の点眼剤と混ざってしまうと、
眼表面温度でのゲル化が起こらなくなるので注意
※可逆的な熱応答ゲル基剤であり,眼表面温度でゲル化し10℃以下でゾル化する。(ゲル化する前の状態のイメージ)
※こちらも点眼液がゲル化するため、べたつきなどは説明すること
②保存条件の違い
上記の違いにより保存の仕方に違い出るのである。
・チモプトール®XE→室温保存
・リズモンTG→冷所保存
※メチルセルロースの事を理解すると、どっちが冷所保存か理解しやすい
部屋で固まるトラブルは?
リズモン®TGを部屋に置いて固まった場合は、冷蔵庫で30分冷やすと戻る
氷だと数分?ただし凍らないように注意が必要である。
補足 略語の意味について
・XEはExtended Efficacy →「効果を持続させた」
・TGはThermosetting Gel → 「熱応答ゲル」
参考資料
リズモン®TG、添付文書、インタビューフォーム
チモプトール®XE、添付文書、インタビューフォーム
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