葉酸とは ?について簡単にまとめる。胎児での意義にも触れている。妊婦の方などは服用する機会が多いと思う。
また、薬の副作用の予防として使われることもある。医療現場では比較的目にする栄養素であるため知っておくと良い。
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①葉酸 とは?
ビタミンB群の1種。ほうれん草の葉から分離されたビタミン
緑の野菜以外にレバーにも入っている。
機能
細胞の増殖に関わりがある栄養素である。
有機化学的な説明をすると、1 個の炭素単位(一炭素単位)を転移させる酵素の補酵素として機能している。
プリンヌクレオチド及びデオキシピリミジンヌクレオチドの合成に関係する。
つまり、DNAやRNAを作るのに必要である。
年齢によって吸収率に変化はない。
摂取基準
厳密に言えば、「食品」と「サプリメント」などに入っている両者の「葉酸」は構造式が違う。
そこでサプリメントに含まれる葉酸の摂取基準を載せる。
胎児にとって特に大切になってくる。
【妊娠を計画している女性、妊娠の可能性がある女性及び妊娠初期の妊婦、神経管閉鎖障害の発症予防のために摂取が望まれる量】
→400μg/日
【耐用上限量】
細かいラインが引かれているが、ざっくり言うと900μg/日から1000μg/日である。
欠乏症
成人でも欠乏すると貧血となるため、必要な人は葉酸を服用しているケースがある。
・巨赤芽球性貧血
・動脈硬化の原因になりうる
・血清ホモシスチン値を上昇させる
※葉酸を定期的に摂取することで生活習慣病の重症化を予防する可能性がある。
②胎児での意義
・受胎前後に葉酸のサプリメントを投与することによって神経管閉鎖障害のリスクが低減する。
・神経管閉鎖障害の発症予防に有効な赤血球中葉酸濃度を達成するために必要なサプリメントからの葉酸摂取量の増加分は400µg/日とされている。
※妊娠可能な女性が受胎前後の3か月以上にわたって 0.36~5mg/日の葉酸を摂取した場合の悪影響の報告はない。そのため、妊婦が服用するケースは多いのだ。
補足:神経管閉塞障害
胎児の神経管閉鎖障害は、受胎後およそ 28 日で閉鎖する神経管の形成異常のこと。状態としては、「無脳症」、「二分脊椎」、「髄膜瘤」などの異常がある。
※受胎後4週間というのは、下手をすれば妊娠にすら気づいていない期間であるため、早めに服用を開始した方が良い。
参考資料
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厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会報告書