鑑別は難しいので、ざっくりとしたイメージをまとめる。アパシーのイメージをつけよう
おまけ:認知症におけるアパシーについて
①「アパシー」とは ?
・「意欲」や「活気」がない・・・「元気」がないように見える状態
あまり動こうとしない。
ただし、本人は「苦痛」を感じてない。認知症やうつ病と合併することはある
例:
外に出て散歩やグランドゴルフなどをしようとしない
引きこもってしまう
着替え・洗濯・歯磨きなど自分のことをしようとしなくなる
・「不快感」や「感情不安定」がなく、「自発性」・「発動性」が低下している
※他に「忍耐力」の低下・「社会性」の低下など
※本人に聞くと「具合は悪くない」と言う
→不安や苦痛の訴えはほとんどない
なぜ「うつ」との鑑別が必要かというと・・・
アパシーの人にSSRIなどの抗うつ剤を投与すると
無効もしくは、症状が悪化してしまうので怖い
②「うつ病」との共通点
・興味や関心の低下
・運動量の低下
・疲労や自ら考えることの低下
こういった症状は、どちらにも見られるので鑑別が難しいらしい
補足:脳卒中の後は「アパシー」「うつ病」どちらもなりうる
③「うつ病」との違い
うつ病は、抑うつ状態に伴い「不快感」「自殺念慮」
「自責感」「罪の意識」「悲観感」「絶望感」などが存在する。
また、「睡眠障害」・「頭痛」・「胃腸障害」などが見られる。
ざっくり言うと、
・「うつ病」
本人がつらい
うつ病だと自覚していることが多い
薬物治療がある
・「アパシー」
本人はつらくない
自覚していないことが多い
これという薬がなく、カウンセリングなど薬ではない治療がメイン
※高齢者だけでなく、その介護する家族も注意
④おまけ:認知症におけるアパシーについて
日本におけるアルツハイマー型認知症と認知症の行動・心理症状Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia(BPSD)の頻度は?
中核症状の進行で様々なBPSDが生じる
アパシー(97%)
妄想(62%)
易刺激性(60%)
不快感(53%)
不安(51%)
異常行動(47%)
興奮(43%) など
国ごとにBPSDの頻度に違いや特徴があるが、
日本人の「アパシー」頻度は高い。
薬局でも元気がない認知症の患者は毎日のように見る
※アパシーを伴うアルツハイマー型認知症には、
コリンエステラーゼ阻害薬であるドネペジル(アリセプト®)が用いられる
参考資料
小林 祥泰:老年精神医学雑誌 16(1), 16-23, 2005-01
高橋 智:認知症のBPSD日本老年医学会雑誌 48巻 3 号(2011:5)