食物依存性運動誘発アナフィラキシー(food-dependent exercise-induced anaphylaxis, FDEIA)について~ざっくりと~
食物アレルギーの1種である。
①発生機序
特定の何か食べ物を摂取した後
↓
運動をすることで・・・
↓
「アナフィラキシーショック」が誘発される (IgE関与)
「食べ物摂取+運動」+何かの要因(②へ)
・発症頻度は中学生約6,000人に1人
・最初の発症年齢のピークは10~20歳代である
・雑談
私の知り合いは、パン(小麦)を食べたあと、ランニングをしたことでトンネル内で倒れてしまった。
その後、通りがかった人に救急車を呼んでもらい一命をとりとめた。
偶然、人が通ったので良かったが本当に危険である!
どこで倒れるか分からないので恐ろしい。
特に、ランニングなんかは一人で行う人も多いと思うので注意。
②発症に影響を与えるもの
体が弱っている時は、要注意である。
例えば
・感染症(風邪・インフルエンザ)
・疲労・寝不足
・ストレス
・気温差・入浴
・ アルコール摂取
・NSAIDs内服
・月経前・月経時 など
③原因となる食物として多いもの
原因として多いものは、「小麦」・「甲殻類」・「そば」である。
※「小麦」と「甲殻類」で80%以上を占める
※ 加水分解小麦含有石鹸(とくに茶のしずく)は経皮感作。
石鹸の使用をやめると軽快した。
④報告が多い「運動」は?
「球技(バスケットボール・テニス・ラグビーなど)」
「ランニング」・「歩行」
また、小学生が給食を食べたあとの
「昼休みなどで運動をした時」「体育の時間」など気をつける必要がある。
※「入浴時」も注意が必要
⑤症状
症状としては、「蕁麻疹」「動悸」「喘息みたいな症状」「吐き気」「腹痛」
また、場合によっては「ショック」を起こす。
→「血圧低下」「呼吸困難」「意識消失」など
⑥生活の上で注意すること
・運動前に原因食物を摂取しない
・原因食物を摂取したら2時間は運動しない
・NSAIDsなどを内服した場合運動は避ける。
※かぜ薬や解熱鎮痛剤が原因で起こることがあるので・・・
原因食べ物の「完全除去」はしないことも考慮することが大切
小麦が多いのでQOLを下げる可能性がある
⑦治療薬
・エピネフリン注射(エピペン®)
→「血圧低下」「呼吸困難」「意識消失」など重篤な場合用いる
・抗ヒスタミン薬
・ステロイド薬
参考資料・文献
食物アレルギー診療ガイドライン2016
食後の運動にご注意~食物依存性運動誘発アナフィラキシー~ 下条直樹