①ワーファリン®の抗凝固作用機序
ワーファリンはビタミンKと拮抗
↓
肝臓でのビタミンK依存性凝固因子であるⅡ、Ⅶ、Ⅸ、Ⅹ因子 の生成を阻害
↓
抗凝固作用・血栓形成抑制作用を示す
※また、
ワーファリン内服により
↓
血中に遊離するPIVKAが増加
(Protein induced by Vitamin K absence or antagonist:プロトロンビン前駆体)
↓
抗凝固作用及び血栓形成抑制作用を示す
※補足
作用時間について(インタビューフォーム引用)
「抗凝固効果は投与後12~24 時間目に発現し、
十分な効果は36~48 時間後に得られる。その効果はその後48~72 時間持続する」
②皮膚壊死とは?
皮膚壊死が起こる機序
WISN:Warfarin-induced skin necrosis について
「びまん性脂肪壊死や出血に囲まれる皮膚・皮下 血管系の血栓性閉塞」
ビタミンK依存性抗凝固因子である
プロテインCとプロテインS(凝固抑制物質)が急激に抑制される
(凝固系の減少)
↓
一過性の過凝固状態が生じる
↓
微小血栓を生じる
↓
皮膚や脂肪組織が壊死に陥る
※投与前にプロテインC活性の確認が望ましい
※特に投与開始1週間(数日)は注意する必要がある
皮膚壊死の初期症状
・有痛性の皮膚の「紅斑」や「潮紅」が現れる
・「点状出血」、「皮膚壊死」、「黒変」など
好発部位
・「脂肪組織」に多い
・「乳房」、「大腿部」、「臀部」、「脚」に現れる
対策・治療
ワーファリンを中止
ビタミンKの投与
ステロイドの投与 など
※3ヶ月での死亡率15%予後不良
③カルシフィラキスとは?
「皮膚・皮下組織内の内膜肥厚を伴う小中動脈の 石灰化」
尿毒症性細小動脈石灰化症のこと
血管や軟部組織に高度な石灰化を呈する疾患
「疼痛」の極めて強い皮膚潰瘍が四肢を中心として起こる
腎障害がある患者に起きやすい
カルシフィラキスの機序・症状
細小血管に「石灰化」が生じる(動脈の石灰化と組織虚血)
↓
組織虚血が起きる
↓
「潰瘍」、「壊死」を引き起こす
↓
急速に進行し、激しい疼痛を伴う皮膚の「紫斑」や「潰瘍」を主症状とする
※潰瘍から敗血症になることもあるので注意
※補足
2017年8月3日 薬生安発0803第1号 別紙 2 による通知内容
「カルシフィラキシス: 周囲に有痛性紫斑を伴う有痛性皮膚潰瘍、皮下脂肪組織又は真皮の小~中動脈の石灰化を特徴とするカルシフィラキシスがあらわれ、敗血症に至ることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと」
好発部位
「体幹部」、「臀部」「上腕」、「前腕」、「大腿・下腿」、「陰茎」「舌」など
特徴について
・長期透析者に多く発症する
・末期腎不全患者における発症頻度1~4%
・死亡率60~80%(敗血症合併例) 予後不良
・その他
高カルシウム血症や高リン血症、
低アルブミン血症 肥満、低栄養、女性、糖尿病など注意
対策・治療
※治療法は確率していない
・デブリードマン
・スルファジアジン銀の外用
・保険適応外
チオ硫酸ナトリウム25gを毎透析後に30~60分かけて静注
↓
カルシウムとキレートを形成し血管壁に沈着したカルシウムを取り除く
参考資料
ワーファリン®添付文書・インタビューフォーム
日本薬剤師会雑誌Vol.70 october 2018
2017年8月3日 薬生安発0803第1号 別紙 2