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D-dimer(D-ダイマー)とCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)の話~日本血栓止血学会の発表など~

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D-dimer(D-ダイマー)とCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)の話~日本血栓止血学会の発表など~

血栓が出来た場合に上昇するD-ダイマーとコロナウイルスによる関連が報告されている。

私が以前、まとめたD-ダイマーの記事へのアクセス増加を受けて急遽まとめることにした。何か間違い等があればご指摘していただければありがたい。

D-ダイマーについては、こちらを参照

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①多く引用が見られる報告(D-dimer絡み)

「中国・武漢の研究対象となった2つの病院での813人を対象とし、
そのうち、重要なデータ項目が不明ではない人で、死亡した患者54人と、生存して退院となった137人の合計191人に関する統計データ」

この報告では、死亡のリスクが何倍であるか書かれている。
D-ダイマーが
0.5μg/ml以下の者を基準として
0.5μg/mlを超えるもの→2.14倍(p値0.52)
1μg/mlを超えるもの→18.42倍(p値0.0033)」

Zhou F, Yu T, Du R, et al. Clinical Course and Risk Factors for Mortality of Adult Inpatients With COVID-19 in Wuhan, China: A Retrospective Cohort Study. Lancet 2020; 395(10229): 1054-1062より引用

p値的にも1を超えた場合は注意が必要?

②新型コロナウイルス感染による血栓症発症リスク増大の警鐘(医療関係者の皆様へ)抜粋

日本血栓止血学会より2020年5月13日にコロナウイル感染症と血栓症の発症リスク増大についてまとめた情報が発信されたので抜粋する。

軽症患者に対する対応(抜粋)

「D-ダイマーの上昇などの血栓症の陽性所見のある場合は、抗凝固薬による血栓症予防療法を考慮する」

※欧米では、低分子量ヘパリン療法の予防投与を勧めている

また、
「血栓陽性所見のない場合は、深部静脈血栓症(DVT)予防のために継続的な運動、弾性ストッキング着用、あるいは IPCなど理学的予防法が推奨される」
としている。「指定ホテルあるいは自宅で隔離された症例もこれに準じる」とのこと

※運動や弾性ストッキングは、患者の意識を上げるためにも入念に勧めると良さそう。

※IPC:間歇的空気圧迫法(かんけつてきくうきあっぱくほう)
下肢に空気で圧迫する装置をつけて下腿~大腿のマッサージにより
深部静脈の血流を上げて、血流のうっ滞を防止する方法

中等症患者に対する対応(抜粋)

「エビデンスは未だ報告されていない」が、
「COVID-19が血栓症発症の重要なリスクであることを考慮し、臨床症状、D-ダイマー値、フィブリノゲン値、血小板数を考慮して抗凝固療法を実施することになる」としている。
肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断、治療、予防に関するガイドライン
(2017年改訂版)を参考にするように記載されている。

重症患者に対する対応(そのまま引用)

「動静脈血栓症発症の高リスク〜最高リスクであり、DVT/PTEの発症頻度は高い。COVID-19 では出血症状は少ないとされること、また予防量の抗凝固療法では血栓症発症を抑えられない症例が多く存在することから、ISTHの提言では、出血リスクを勘案した上で低分子量あるいは未分画ヘパリンの治療量による抗凝固療法を推奨している」

※ISTH:国際血栓止血学会

「本邦でもこれに準じ、臨床症状、D-ダイマー値、フィブリノゲン値、血小板数を考慮した上で、抗凝固療法を実施することが推奨される」

※出血リスクも勘案してしっかり治療する必要があるとされている

退院後の対応(そのまま引用)

「COVID-19 では血栓症のリスクは遷延するとされる。退院時の抗凝固薬服
用に関して考慮する必要がある。」

まだ、エビデンスも少ないこともあり、今後のコメントを待ちたい

補足:COVID-19 感染者の重症度

軽症:下記以外
中等症:酸素療法が必要な患者
重症:人工呼吸器やECMOによる管理等を要する患者

参考資料
Zhou F, Yu T, Du R, et al. Clinical Course and Risk Factors for Mortality of Adult Inpatients With COVID-19 in Wuhan, China: A Retrospective Cohort Study. Lancet 2020; 395(10229): 1054-1062

新型コロナウイルス感染による血栓症発症リスク増大の警鐘(医療関係者の皆様へ)日本血栓止血学会,令和2年5月12日