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漢方薬に含まれる「甘草」の注意点について

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漢方薬に含まれる「甘草」の注意点について

偽アルドステロン症に注意なことは有名であるが簡単にまとめる。
いったい甘草何gくらいから注意なのか?
服用開始してどれくらいが注意なのか?

「甘草」は、漢方薬の75%に含まれており、
生姜、タイソウとともに急迫の緩和として 緩衝剤の役割を果たす。

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①偽アルドステロン症について

どんな病態?

「偽アルドステロン症」は、血中のアルドステロンが増えていないのに、
「アルドステロン症」の症状を示す病態

メカニズム

グリチルリチンを経口投与すると腸内細菌により糖結合が切断され、
活性本体であるグリチルレチン酸が生成する。


尿細管に作用する11β-HSD-2(11β-hydroxysteroid dehydrogenase-2)の
活性を抑制



コルチゾールからコルチゾンへの変換を抑制する。



コルチゾールの血中濃度を高めることでステロイド作用を発現する。



尿細管でミネラルコルチコイド受容体に作用する。



尿細管でのカリウム再吸収を抑制、ナトリウムの再吸収促進
(体内のカリウム値が下がって、ナトリウムが上がる)



「浮腫」、「高血圧」、「ミオパシー」などを起こす。

※コルチゾールはアルドステロンと同じような作用を示す。

いつ起こりやすいの?

過敏症のように服用数日以内に起こるのではなく、
1~数ヶ月をかけて徐々に発症していく。
(長期服用が注意)



つまり、「血圧」のフォローは薬局でも大切
「高血圧」が生じた場合漢方薬も疑う必要がある 。

偽アルドステロン症の添付文書上の記載(ツムラ芍薬甘草湯より引用)

「低カリウム血症、血圧上昇、ナトリウム・体液の貯留、浮腫、体重増加等の偽アルドステロン症があらわれることがあるので、観察(血清カリウム値の測定等)を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、カリウム剤の投与等の適切な処置を行うこと。」

低カリウム血症の結果として、ミオパシーが生じやすくなる。

②甘草は何gから注意なのか?

甘草にどれくらいグリチルリチンが含まれていて、何gから注意なのか?

甘草1gには、グリチルリチンが「約40mg」含まれている。

ただし、日本薬局方を含め生薬の量として甘草の上限自体設けられていない。

※水の違いでも抽出率が変わってきたりする。
そのため、一概に甘草1gにグリチルリチンが約40mg含まれているからといって、そのまま体内に吸収されるわけではない。
pHや他の漢方や薬剤との飲み合わせによって左右される。
「単純に内服や注射剤のグリチルリチン製剤の上限量と比較するものではない」
とツムラ製薬からは回答があった。
確かにコーヒーなども軟水か硬水かで抽出の具合が大きく変わるので納得である。

添付文書と甘草量

漢方薬で有名なツムラ製薬に問い合わせると、
甘草として1日量が2.5gを超える場合
「禁忌事項」に記載される項目があるとのこと(行政指導により)
グリチルリチン量としては「100mg」である。

例えば、「芍薬甘草湯」、「半夏瀉心湯」などが該当する。

※1日の甘草量が2.5gを超える場合に追加される禁忌項目

1.アルドステロン症の患者
2.ミオパチーのある患者
3.低カリウム血症のある患者

※ツムラからの回答として
禁忌項目の疾患や症状がなければ、量が多くても使用することが出来る。
ただし、偽アルドステロン症の症状である「むくみ」などには注意し、
「むくみ」が気になる場合は、採血でカリウム値を確認するなどの対策をしてほしいとのこと。

※芍薬甘草湯は、1日3回服用すると甘草量が6g/日になってしまうため当然注意が必要であり、頓服の方が安全に使用することが出来る。

補足:甘草が1日1gを超える場合

禁忌まではいかないが、添付文書に甘草の「注意点」が記載されるとのこと。

1g/日を超える場合→注意事項として記載
2.5g/日を超える場合→禁忌事項として記載

「甘草」を含む漢方と併用を注意する薬剤

ポイント:グリチルリチン製剤と低カリウム血症を引き起こす薬剤

併用を注意する薬剤例

グリチルリチン製剤(商品名:グリチロン、強力ネオミノファーゲンシー)
ループ系利尿剤
チアジド系利尿剤
など 

参考資料
ツムラ芍薬甘草湯 添付文書
ツムラ製薬への問い合わせ
よくわかる漢方処方の服薬指導
治せる医師をめざす 漢方医学入門