「適応症と腎機能制限の関係」 病態と使用経験がポイント。
薬局においては、どの疾患に対して薬が処方されているか
把握することが難しいことも多い。
ただ、病名によって用法や減量基準が違う場合は、
薬局でも しっかり分かっておくことは重要。
そうでないと腎機能に対して正しい量なのか等分からない・・・
監査が出来ない・・・
おまけ:非弁膜症性心房細動とは?
①アピキサバン(エリキュース®)の効能・効果(添付文書引用)
1. 非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制
2. 静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑制
2つの病気の可能性がある。
効能・効果の1の方である
「心臓の方」で使っているのか否か服薬指導時に確認することが大切
「不整脈」って言われましたか?など聞いてはどうだろうか
②腎機能の観点から
非弁膜症性心房細動
用法用量
「通常、成人にはアピキサバンとして1回5mgを1日2回経口投与する。 なお、年齢、体重、腎機能に応じて、アピキサバンとして1回2.5mg1日2回投与へ減量する」
※腎不全(クレアチニンクリアランス(CLcr)15mL/min 未満)の患者に禁忌
→15mL/min以下の使用経験がないため設定されている 。
※臨床薬理試験における腎機能低下者もCLcrが15mL/min以上の人が対象
※<ワルファリンを対照とした国際共同第Ⅲ相試験> (ARISTOTLE 試験)では、CLcr25mL/min未満の人を除外している。
補足:1回2.5mg1日2回の用法で用いる場合
添付文書の記載について(下記) 次の基準の 2 つ以上に該当する患者は、
出血のリスクが高く、 本剤の血中濃度が上昇するおそれがあるため、
1 回 2.5mg 1 日 2 回経口投与する。
・80 歳以上
・体重 60kg 以下
・血清クレアチニン 1.5mg/dL 以上
静脈血栓塞栓症
用法用量
「通常、成人にはアピキサバンとして1回10mgを1日2回、7日間経口投与した後、1回5mgを1日2回経口投与する。」
※重度の腎障害(CLcr30mL/min 未満)の患者に禁忌
→腎機能に対する減量基準がないため厳しい設定
インタビューフォームの記載
「腎機能を加味した減量基準が設定されないことから、 非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制とは異なった基準を設定した」
おまけ:非弁膜症性心房細動とは?
日本循環器学会によれば、
「弁膜症性」とは?:
人工弁置換(機械弁、生体弁とも)とリウマチ性僧帽弁膜症(狭窄症、閉鎖不全症)
「非弁膜症性」とは?:それ以外
意外とシンプル・・・
ただし、薬局でエリキュース®などのNOACを出す際は 「手術歴」「どんな心房細動か」確認する必要がある。
薬歴の表書きにちゃんと「非弁膜症性」であることを確認した記録が必要
※リウマチ性僧帽弁膜症とは?
子どものときにかかった高熱を伴うリウマチ熱の後遺症として心臓の僧帽弁や大動脈弁に障害を起こす病気である。
関節リウマチとは違う病気なので注意
参考資料
エリキュース®添付文書・インタビューフォーム
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