意外と頻度も多いので理解しておくと良い
①作用機序について
ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬は14%の頻度で浮腫が生じる(高齢者)
静脈拡張作用が動脈拡張作用に比べて少ないため
細動脈は拡張するのに細静脈がそれに比べて拡張しない
↓
毛細管圧が上昇する
↓
毛細血管領域局所にうっ血が生じる
※血しょう成分が間質へ移動
↓
「浮腫」が生じる
↓
「下肢」に多く見られる
※「踵」や「足の背」、早朝は「まぶた」に多く、左右対称に起こることが多い。
※全身的水分貯留は伴っていない
→循環血液量は変わらないので利尿薬はあまり反応しない。
※血中濃度が急激に上昇する薬剤で浮腫が出現しやすい
※アムロジピン(アムロジン®、ノルバスク®)は、ニフェジピン(アダラート®)や二カルジピン(ペルジピン®)より頻度は低いが 他の薬剤よりは多い。
補足:
服薬指導時、アムロジピンやニフェジピンなどの薬のみ服用している方で、
ネタ切れで話す内容に困ったら「足のむくみ」や「顔のほてり」など
聞いてはどうだろうか。
意外と早朝の顔の「ほてり」「むくみ」を感じている人はいるかもしれない。
また、下肢の浮腫から・・・それを改善しようと夜間頻尿につながるリスクも
あるので「夜間のトイレ回数」や「不眠の原因がトイレではないか?」など
聞き取りをしたり、色々アンテナを張るといいでしょう。
②対策
上記副作用で何か対策しないといけないときは・・・
・原因薬剤の減量
・他の降圧剤への変更
などの対応が多い。
※(再確認)
全身的水分貯留は伴っていない
→循環血液量は変わらないので利尿薬はあまり反応しない。
③ジヒドロピリジン系薬剤(DHP)はどれ?
種類は結構あるので職場にあるものを覚えておくといいと思う。
何かとニフェジピンは、個人的に副作用も起きやすいので注意している
別の機会にまとめる予定であるが、歯肉肥厚もチェックするべきである。
商品の例:
アゼルニジピン(カルブロック®)
アムロジピン(ノルバスク®、アムロジン®)
エホニジピン(ランデル®)
ベニジピン(コニール®)
上記、4品目は脂溶性が高く、組織移行性がよい
ニフェジピン(アダラート®)
シルニジピン(アテレック®)など
参考文献
吉永 馨:アンギオテンシンⅡ受容体拮抗薬相互作用と副作用.
日本臨床 1999;57:194-197
R. Patterson Russell: Side effects of calcium channel blockers. Hypertension 1988; 11: 42-44.
松本直通, 荒川規矩男: ペジル酸アムロジピン. 現代医療1994; 26: 2063-67.
葛谷雅文、Geriatric Medicine 2009;47:235-237