高齢者に対するHbA1cの数値に「下限」が設けられたりしている。
高齢者に対する細かい話は別の機会にまとめる。
ここではHbA1cの基本的なところに触れる。
①HbA1cとは何?
・血管内でブドウ糖がヘモグロビンと結合したものを
グリコヘモグロビン(HbA1c)という。
・ヘモグロビンは赤血球の中に大量に存在するタンパク質で
体の隅々まで酸素を運搬する役割を担っている。
・赤血球の寿命はおよそ120日と言われている
・赤血球はこの間ずっと体内を巡って、血管内のブドウ糖と少しずつ結びつく。
・高血糖なほど結びつきが増えHbA1cも多くなる。
・血液中のHbA1c値は、赤血球の寿命の半分くらいにあたる
時期の血糖値の平均を反映する。だから、「1~2ヶ月」の血糖の状態を表している。
②数値について
血糖コントロールの目標値
・血糖正常化を目指すには →6%未満
・合併症予防のためには →7%未満
・治療強化が困難場合 →8%未満
※合併症の予防とは?
「細小血管症の発症予防や進展の抑制」
対応する血糖値としては、
「空腹時血糖値130mg/dL未満」
「食後2時間血糖値180mg/dL未満」
が、おおよその目安とされている。
→普段の「血糖値」も大切ということ
HbA1cだけを見ていてもダメ 。
服薬指導の際
例えば「8.2%」くらいの人にいきなり「7%を目指しましょう」
と言っても、目標が高すぎてモチベーションにつながらないと思う。
最終的な目標が「7%」だとしても、「まずは8%を切りましょう」とか
目指しやすい目標を言うことも大切ではないだろうか。
③HbA1cを下げると何がいいのか?
薬局でもHbA1cが下がっていること、上がっていることを確認する。
(副作用の有無や薬が効いているか、あるいは、アドヒアランスの確認などために)
ただ、
患者自身に「HbA1cを下げたら何がいいのか」
説明が必要なケースがあるのでは・・・?
そのヒントとして何かしらデータを知っておくといいかもしれない。
例えば、
「HbA1cを1%下げると何のリスク率がどれだけ下がるのか」というと・・・
細小血管障害イベント37%↓
総死亡率14%↓
心筋梗塞14%↓
脳卒中14% ↓
心不全16%↓
これだけリスクを下げることが出来る。
HbA1cがとても高くて、 7%を切るために長い時間がかかりそうな患者には、
「1%下げると何がいいのか」など、
モチベーションを上げるような説明をしてもいいのではなかろうか。
補足
HbA1cを下げるだけではダメという話がある。
(DPP-4阻害薬の登場でHbA1c自体を下げることは難しくない時代に)
データとして 2型糖尿病患者の平均HbA1cは6.96%
しかし、その反面BMIが右肩上がりになっている。
1、2型とも上がっている。
つまり、HbA1cだけでなく「体重」も意識してもらう 必要があるのだ。
参考文献
Statton IM et al . BMJ 2000;321(7528) : 405-412