いなかの薬剤師

脳腫瘍や慢性硬膜下血腫に対する「五苓散」や「柴苓湯」について

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慢性くも膜下血腫にスポットを当ててまとめてみる

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①慢性くも膜下血腫の原因

血腫の原因や増大の考えられている機序

・硬膜下腔へ血液混入後の貯留
・上記に対する反応性の被膜形成
・被膜の新生血管からの出血
・炎症の関与
など

②構成生薬について

五苓散

沢瀉(タクシャ)、猪苓(チョレイ)、蒼朮(ソウジュツ)、茯苓(ブクリョウ)、桂皮(ケイヒ)

※「桂皮」以外は、利水作用を有する。
また、「桂皮」の理気作用により、気を巡らせ水の滞り(水毒)を改善する。
この作用が、利水作用を助けている。
微小循環改善作用があり、毛細血管の機能を改善すると言われている。

柴苓湯


柴胡(サイコ)、  半夏(ハンゲ)、 黄芩(オウゴン)、  大棗(タイソウ)、
人参(ニンジン)、 甘草(カンゾウ)、  生姜(ショウキョウ) 、

沢瀉(タクシャ)、 猪苓(チョレイ)、 蒼朮(ソウジュツ)、
茯苓(ブクリョウ)、 桂皮(ケイヒ)

※柴苓湯は、五苓散に小柴胡湯を加えたものである。
五苓散の効果に加え、抗炎症作用を持っている 「甘草」が含まれる。
内因性ステロイド分泌促進作用を有している。
また、 「黄芩」にも抗炎症作用があると言われている。 

※小柴胡湯を含むので間質性肺炎に注意が必要

※柴苓湯=五苓散+小柴胡湯
なのだが、単純な合方(足し算)ではない。
含まれる「桂皮」の量が五苓散より柴苓湯の方が多い。
例:ツムラの医療用(7.5gあたり)で比較すると
五苓散→「桂皮」1.5g
柴苓湯→「桂皮」2g

②作用機序について(メカニズム)

五苓散が慢性硬膜下血腫の形成に関わっているアクアポリン4
を阻害することが分かっている。
この作用が硬膜下腔への液の貯留を改善させている可能性があるという報告がある。

アクアポリンとは?

細胞膜にある水選択的チャネルタンパク質である。
アイソフォームは13種類確認されている。
体内の大量の水の移動に関わっている。
人間の体の60%は水分であるためとても重要である。

補足:
アクアポリンの1、2、3は、腎臓に多く含まれている。
アクアポリンの4は、脳に豊富に存在している

③使い分け?正解はないが・・・

今回は脳の方にスポットを当てているので
非常に使い分けのイメージが難しい。
柴苓湯の方は、「柴胡」が含まれるので胸脇苦満が必須だろうが、
慢性くも膜下血腫の消失率の報告は、どちらも同等である。

柴苓湯には「間質性肺炎」の可能性があるので
五苓散を使ってみて、効果がいまいちの場合に
柴苓湯を試してもいいのではないだろうか

個人的には、構成生薬が少ない方が、
効果の切れ味がいいという
古典的な考えにより五苓散を押したい。

参考資料
高橋義男他:発生から消褪までの血腫被膜所見と内 容液所見からみた慢性硬膜下血腫の成因の臨床的研 究. Neurol Med Chir (Tokyo) 25:998-1009, 1985.
田中輝彦他:成人慢性硬膜下血腫の血腫外膜及び硬 膜の組織学的検討. 脳神経外科25:701-705, 1997.
磯濱洋一郎:五苓散のアクアポリンを介した水分代 謝調節メカニズム. 漢方医学35(2): 186-189, 2011.

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